2012年11月14日

「福袋」角田光代

物や人を預かることで日常にある非日常を描く。
角田による短編集。
   
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「箱おばさん」

駅にある菓子店でおばさんから箱を預かった主人公。
結局箱は何だったのか。「やばい人」という表現が面白い。

「イギー・ポップを聴いていますか」

何かと物を拾ってくる主人公。
拾ってきた紙袋には、ビデオテープが入っていた。
もしかして、角田自身が拾ったテープを再生したことがあるのだろうか。

「白っていうより銀」

駅で赤ん坊を預けられた女性は、離婚届けを出したばかり。
母親は戻ってこない。こまりまちたね。

女性は考える。
もし、自分たち夫婦に子どもがいたら・・・

不思議なもので、子どもが欲しいと願う夫婦にはできない。
でも、欲しくない夫婦には子どもができる。

後者の子どもは人工中絶でこの世に生まれないかもしれない。
生まれても虐待されるかもしれない。どこか不公平だ。

「フシギちゃん」

彼の携帯を勝手に見る女。職場の先輩、長谷川さんから誘われる。
携帯のない時代のことを話す先輩。

角田の作品には、女性がストーカーになるという場面がよく出てくる。
歯止めがきかない女性は怖い。

「母の遺言」

母の死後、四十九日に集まり遺言を読む兄妹たち。
映画「市民ケーン」を思い出した。
人が最期に話すことって、結構こんな感じなのかもしれない。

向田邦子なら、このテーマをどう作品として残しただろう。
そんなことを考えてしまう。

「カリソメ」

無断で夫の同窓会に行く離婚間近で別居中の妻。
友人たちから夫が大学時代「仮面浪人」だったと言われる。

「本当の自分はこんなものじゃない!」と思っている人は多い。
でも、現実はシビアなもの。

「犬」

引越し先にいた犬。
妻は犬に拘り、奪う作戦を立てる。

これもまた、「のめり込む女」を描いている。
引いている男が不憫。

「福袋」

兄と結婚するという女性とともに大阪を訪問した主人公。
福袋には、パンドラの箱のように希望が入っていた?

***** ***** *****

異質な物(人)が日常に入り込むと、ドラマが起きる。
角田らしい視点は読者を飽きさせない。

彼女の作品では「ロック母」をまだ読めていない。
前に読んでおくべきだったか。

 読書のページ(書評)

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ラベル:福袋 角田光代
posted by りゅうちゃんミストラル at 10:18| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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「福袋」角田光代 感想
Excerpt: 角田さんらしいお話が8つ入った短編集。面白かったけれど、短いのでパンチが少な目かな。
Weblog: ポコアポコヤ
Tracked: 2012-11-14 12:00
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