2012年10月30日

「妊娠カレンダー」小川洋子

陰のある短編が3つ。
第104回芥川賞受賞作。
   

今まで読んだ、「猫を抱いて象と泳ぐ」や「ミーナの行進」とはかなり違う。
ブラックな小川の一面が見える。

だが、小川作品に共通しているのは描写。
読んでいて、砂に水がしみこむように頭の中で場面を想像できる。
これは、他の作家と比較すれば違いがよくわかる。

「妊娠カレンダー」

大学生の主人公が見た、姉の妊娠。
さすがに芥川賞作品。整った文章が光る。

アルバイト先でもらったグレープフルーツを使い、ジャムを作る主人公。
つわりで苦しんだ姉は、そのジャムばかり食べる。

姉のわがままぶりと、日常にある復讐を描いている。
主人公は生まれた子を見る度に、ジャムを思い出すのだろう。

「ドミトリィ」

主人公の女性、久しぶりにいとこから連絡がある。
女性が以前にいた学生寮に入りたいとのこと。

失踪した数学科の学生は、「博士の愛した数式」を思い出す。
ミステリーではないので、事件の謎は明かされないまま。

学生寮が舞台の作品といえば、「蛍」(村上春樹)を思い出す。
「ノルウェイの森」の元になった短編だ。

そういえば、両手と片足がない先生がどうやって家事をするか。
「ダンス・ダンス・ダンス」(村上春樹)でも、片腕の男が作るサンドイッチが出てきた。

ネバーランド」(恩田陸)も同じく学生寮が舞台。
だがこの作品で学生たちのことはメインではない。

何故、いとこに会えないのか。
その答は読者自身が勝手に想像するしかない。

「夕暮れの給食室と雨のプール」

司法試験浪人の彼と結婚予定の女性が主人公。
新居で宗教勧誘員の親子に出会う。

この作品については、私の中で消化できていない。
時間を置いて再読したい。

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同じ作家の作品を複数読む場合。
後で初期の作品を読むのは、作家の原料をたどるようで面白い。

芥川賞選考委員のコメントは、以下のページで読める。

小川洋子-芥川賞受賞作家

今後、小川作品を読むとしたら、「人質の朗読会」になるだろうか。
   

図書館での予約待ちが多数いるので、読むのがいつになるかわからない。

   読書のページ(書評)

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↑小川の描写について私と同じことを書いている。

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posted by りゅうちゃんミストラル at 07:09| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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