2012年10月08日

「遠くの声に耳を澄ませて」宮下奈都

見えないスイッチが入る12の短編集。
宮下の世界を堪能した。
   

「旅」に連載されたエピソードたち。
静かで地味だが何かが変わる様を描いている。いくつか紹介。

「アンデスの声」

毎日畑に出ている祖父を、どう旅に結びつけるのか。
宮下の出した答えがこれ。なるほど、ラジオを使うとは。

「転がる小石」

台湾に行くはずだった女性が、何故か波照間島から電話をかけてきた。
これも旅より大部分をパン教室での出来事に当てている。

「足の速いおじさん」

今度はスペイン。叔父さんは、本当にスペインへ行ったのか。
これもすぐ近くの公園が舞台。

「夕焼けの犬」

再び病院が舞台。
この構成は私も予想できなかった。

***** ***** *****

「物足りない」と感じた読者も結構な数いただろう。
私も読み終えた時にはそう感じた。

登場人物が別のエピソードに少しだけ出てくる「薄さ」もこれでいい。
宮下作品でリンクといえば、「よろこびの歌」を思い出す。
きみの友だち」(重松清)もそうだが、両方とも登場人物の関係が濃い。

だが、時間の経過とともに薄さは「これでいいんじゃないか」と考えるようになった。

じわじわとくる感動こそ、宮下作品の良さ。
私はそう解釈している。

少女が白血病で死ぬばかりが小説の感動ではない。
地味でも、こうした作家の作品を大切に読みたい。

宮下奈都の作品に、今後も期待する

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『遠くの声に耳を澄ませて』 宮下奈都 (新潮社)

遠くの声に耳を澄ませて

遠くの声に耳を澄ませて 宮下奈都

「遠くの声に耳を澄ませて」宮下奈都

遠くの声に耳を澄ませて | 宮下 奈都

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