慣れない土地での生活が始まる。
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アンソロジー、「コイノカオリ」に収録されていた宮下の作品「日をつなぐ」。
この作品とのつながりがとても深い。宮下にとって描きたいテーマだったのだろう。
舞台は北陸の田舎町。
東京から出たことに梨々子は失望を隠せない。
下の子は幼稚園だけでなく、小学校でも問題児。
給食にまったく手をつけないなど、何度も呼び出しを受ける。
不倫は芸能人である男の側が身を引いたことで深入りせずに済んだ。
そうでなければ「ボヴァリー夫人」(フローベール)のコースへ一直線。
梨々子に、「どうして結婚なんかしたのだろう」と呟かせてもよかったのではないか。
宮下が自分の経験をこの作品に表現したことは明らか。
子育ての経験がある方なら、共感できるのかもしれない。
だが私には「ハズレ」の作品。主人公にまったく共感できなかった。
夫が欝なら、恐れるのは自殺。「社会に貢献していない」と吐露する夫。
自殺対策をどうしたのか、力量のある作家だけにもっと描いてほしかった。
村上春樹の言葉ではないが、作家はすべての読者を救えない。
野球でも10割打者はいない。
同じようにすべての作品が読者に受け入れられることはない。
東野や重松など、多くのファンを獲得している作家でさえ例外ではない。
今まで、「よろこびの歌」や出世作「スコーレNo.4」で大きな感動をもらった宮下。
今後も彼女の作品を追い続けるだろう。
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