2012年09月30日

「よろこびの歌」宮下奈都

音大付属高校に不合格だった挫折から音楽と離れた玲。
合唱で指揮者になったことから何かが変わる。感動の連作短編集。
   
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「よろこびの歌」

玲の母は著名なバイオリニスト。当然のように自分も音楽の道を志す。
声楽で音楽科を受験するものの不合格。

進学したのは新設の女子高で音楽科はない。
目立たないように過ごす。

2年のクラスで出た合唱大会。そこで指揮者に推薦された玲。
やる気のないクラスを厳しく指導するが、本番では惨敗。

しかしその後行われたマラソン大会で、玲を応援する歌声がおきる。
彼女たちに無音のスイッチが入った。

「カレーうどん」

今度はピアノを担当した千夏の視線。家がうどん屋の千夏。
実は玲の母親のファンだった。

「No.1」

早希は中学のソフトボールでエースの4番と活躍。
しかし最後の試合で肩を壊し、強豪校への推薦入学も夢に終わる。
挫折感いっぱいで高校進学した彼女は・・・

「サンダーロード」

人には見えないものが見えてしまう史香。
そのため、歴史の浅い新設校を希望した彼女。
玲を見つめるおじいさんのメッセージを伝える。

「バームクーヘン」

このエピソードは佳子がメイン。
バレンタインにボーイフレンドの南君の家に行く。
そこで核シェルターを見せられた彼女は・・・

「夏なんだな」

委員長でしっかり者のひかりは、姉に対して憧れを抱いていた。
ひかりも第一志望の高校を落ちる。

姉の選択は看護の道だった。
「再挑戦」というのは、すべてのエビソードに通じるテーマ。

「千年メダル」

合唱大会のリベンジをすべく、「麗しのマドンナ」を練習するクラス。
上達するものの、「何のための音楽か」ということを考え始める。

ハイロウズの音楽はこんな感じ。

 

いや、読んでいて何度も泣いた。すばらしい短編集だ。
少女たちの挫折感、微かだが確実な希望がとてもよく伝わってくる。

「少しくらいの遠回りはたいした問題じゃない」というのは大人の論理。
経験が乏しい高校生にそんな理屈が通用するわけない。

読んだ後感じたこと。
それは主役が玲ではなく千夏ではないかということ。

みんなを刺激したのは確かに玲。
しかし、最初に石を池に投げ込んだのは千夏。

千夏が投げた石が、池に波紋を起こした。
彼女こそ隠れた司令塔(黒幕?)だった。

とにかく人に推薦したくなる

すばらしい物語をありがとう!


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posted by りゅうちゃんミストラル at 08:09| 東京 🌁| Comment(2) | TrackBack(3) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
この作品、私も好きです。
千夏が隠れた主役というのは、たしかにそうかも知れませんね。
千夏が玲に指揮をやるように頼まなければ、その後の展開もなかったですし。
そして続編の「終わらない歌」でもう一度彼女達の物語が読めたのも嬉しかったです。
玲と千夏の友情が続いていたのも何よりでした♪
Posted by はまかぜ at 2014年10月18日 19:48
はまかぜさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

宮下の作品は、静かで地味ですが確実な感動があります。
そこが魅力だと私は考えます。

上の書評にも書きましたが、高校生にとって「拒否される」ことは大きな挫折です。

受験で不合格となること。
ソフトボールで故障しプレーできなくなることは単なる「遠回り」以上のダメージがあります。

続編の「終わらない歌」ですが、未読です。
近いうちに読む予定です(汗)。
Posted by りゅうちゃん(管理人) at 2014年10月18日 20:52
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Weblog: ミステリ読書録
Tracked: 2012-10-02 23:51

宮下奈都「よろこびの歌」 凄く良かったです☆
Excerpt: 受験に失敗したり、何らかの事情で、あまり望まない高校へ不本意ながら行く事になった若い子にも是非読んで頂きたい本です。
Weblog: ポコアポコヤ
Tracked: 2012-10-07 10:08

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