芥川賞作家、川上弘美の出世作。
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私は芥川賞受賞作「蛇を踏む」を先に読んだ。
内容が非現実の世界なので、書評を書けないでいる。
多くの読者は、この作品を先に読んでいるはず。
そして、作品の違いに戸惑った人も多いだろう。
センセイは弱った乾電池のような存在。妻と死別している。
年齢差30歳以上。主人公のツキコは未婚。
だから男女の仲になっても、批判されることを気にしないでいい。
しかしセンセイはなかなか恋愛に踏み出さない。
高齢による性行為の不安も確かにある。
後半、その点を正直に吐露している。
同じ男として、この告白は懊悩の末だったろうと想像している。
だが理由はそれだけではない。
「教師と教え子」ということも大いに影響している。
そしてツキコは小島孝ではなくセンセイを選ぶ。
「ワタクシと、恋愛を前提としたおつきあいをして、いただけますでしょうか」
(本文から引用)
こんな文章初めて読んだ。
中年女性と高齢の男にも、恋愛はあるのか。
もちろんある。この作品がそれを証明している。
この作品が、多くの読者に受け入れられるのは何故か。
それは、すぐに答を求められる現代とは逆の内容だから。
「出会ってすぐ寝る」という時間の短さを競っているような現代。
「0か1か」というのはネットの中だけでいい。
0でもなければ1でもない。
そんな恋愛があったっていいじゃないか。
作者は違った時間の流れを示すことで、読者に違う時空を体験させる。
こんな作品がもっとあっていい。
この作品は2001年谷崎潤一郎賞受賞作。
だが賞に関係なく、この小説は多くの人に受け入れられただろう。
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同じ書籍を読まれていて嬉しかったです。
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初のTBに選ばれ、光栄です。
今後ともよろしくお願いします。