書簡体で書かれた3つの短編を収録。(この記事、ネタばれあり)
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湊かなえは「告白」、「少女」、「贖罪」、「夜行観覧車」と読んだ。
そして、またしても読んでしまった。
「十年後の卒業文集」
結婚し、海外生活している高倉悦子。放送部だったメンバーに手紙を出す。
「こんなに手紙書く人は珍しい」とか言い出すと、前提が成り立たない(汗)。
ストーリーに「捻り」がきいている。
このアイデアは私も予想できなかった。
「二十年後の宿題」
元恩師が高校教師となった元教え子に、調査を依頼。
受け持った6人の生徒のその後を調べるというもの。
大場は「十年後の卒業文集」で顧問だった先生だよね。
6人には過去に起きた、ある事件が関係していた。
「どうしてこのばあさん、依頼しておきながら情報を小出しにする?」という疑問。
後になってその理由がわかる。
複数の人が溺れたら、誰を助けるか。
サンデル教授(ハーバード大)が、講義で使いそうなテーマ。
「十五年後の補習」
あるカップルには火事にまつわる秘密があった。
秘密が何かということは、後になって明かされる。その詳細も。
「ミステリーしてるじゃん」と私は素直に感じた。
二人はその後、どうしたか。結ばれて秘密を墓まで持っていくか。
ただ一点、気になったのは遺体のこと。
火事で死んだ同級生は、致命傷となった(らしい)頭部の外傷があったはず。
検視でその傷は見つからなかったのだろうか。
遺体は火事で損傷が酷かった。そんなものか。
書簡体と言えば「錦繍」(宮本輝)。
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この話は、「錦繍」を思い出させる。
湊には珍しく、どのエピソードも結末に希望がある。
これは変化の兆しか?
だとしたら、今後の作品に希望が持てる。
この作家には、新分野に踏み出してほしい。
メールが当たり前の現代、こうした小説は続くべき。
小説としての可能性は結構あるかと思う。
追記
以前、図書館のレファレンスで書簡体の小説を探してもらった。
その際、図書館員は「明朝体とか草書体のことですか?」と言った。
図書館員でもこの程度。
書簡体は知られていないのだなあ。
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