2012年09月18日

「きことわ」朝吹真理子

25年ぶりに再会した女性二人。過去の思い出と、空想の世界が描かれている。
第144回芥川賞受賞作。
   
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別荘を処分することになり、久しぶりに再会した貴子と永遠子。
タイトルの「きことわ」というのは、二人の名前。

結構仲良くしていたにもかかわらず、ずっと会っていない人。
あなたにもいるはずだ。

記憶というのものは曖昧で、結構違っていたりもする。
その違いがこの作品にはよく表現されている。

洗濯物を取り込むところなどは夢と現実の境界。
もし、こうした場面が多いと「蛇を踏む」(川上弘美)のようになる。

起伏の少ない「きことわ」と「蛇を踏む」の両作品。
ストライクゾーンが狭い(共感する読者が少ない)のは共通している。

私がたまに純文学を読むのは、整った日本語を知るため。
大衆文学だけでは不安だから。

もうひとつは、芥川賞であれば多くの書評を読むことができる。
多くの人の考えを知るには絶好の機会。

芥川賞は純文学に与えられる賞。
そのため売れないし話題作でもない限り図書館でもすぐに読めたりする。
整った日本語で書かれ、選考委員の好みであれば芥川賞は近い。

純文学は早い話が「絶滅危惧種」ということ。
だから賞を与えて残す意味がある。そう考えれば解釈も楽だし腹も立たない。

もうひとつ、「読み手としての自分を疑う」ということ。
この作品のような純文学を読んで「つまらない」としか感じない自分がいたとする。

それは、自分の読み手としての能力に欠けた部分があるからではないか。
もしかしたら、自分は文学の面白さについてほんの一部しか理解していない。

そう思えば、この作品のような140ページを読む時間を無駄とは思わない。
「つまらない」と感じたとしてもだ。

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「朝吹真理子が選ばれ、村上春樹が芥川賞に選ばれていない不思議」について。

近年、ノーベル賞候補と言われている村上春樹。
彼は「風の歌を聴け」で候補になったものの、受賞していない。
詳しくは以下のページに出ている。

村上春樹と芥川賞

河合隼雄との対談でも、春樹は「文壇と関わらない」と言い切っている。

それにしても「きことわ」のような芥川賞作品に対するアマゾンの評価は異常に低い。
私は最近では、「アマゾン係数」を自ら設定しているくらい。

本屋大賞ですら、最近は売れる本に偏っているとの批判がある。
本来、本屋大賞は「いい本だけど一般的に知られていない」本を選んでほしい。
そのため、私は「本屋大賞係数」も設定して読む本を選んでいる。

追記

同時受賞の「苦役列車」については、以前記事に書いた。

「苦役列車」西村賢太

西村賢太と朝吹真理子、両者のコントラストが興味深い。
朝吹の家系については、以下の記事にも書いた。

「悲しみよこんにちは」サガン

朝吹真理子から見て、朝吹登水子は大叔母。

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関連記事

朝吹真理子「きことわ」  

芥川賞受賞作 朝吹真理子「きことわ」を読んで

『きことわ』朝吹真理子(新潮社)

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