2012年09月01日

「キッドナップ・ツアー」角田光代

夏休みの初日、誘拐された小学5年生の主人公ハル。
普通じゃない、ひと夏の物語。
   

誘拐したのは別居している実の父親。
なので悲惨な話ではない。

頼りない誘拐犯の父親は、妻であるハルの母親に何かを要求している。
その身代金が何のかは、結局明らかにされない。

この結末に、納得しない読者もいるだろう。
しかしだ、この世に明らかにされないことはたくさんある。

ならば、無理に説明しなくてもいいんじゃないか。
私はそう考える。

そもそもこの作品は、謎解きミステリーではない。
父親と娘の物語なのだから。

ハルが海で会ったあの少女はどうしたのだろう。
また会うと思っていたが、再会できない人は多い。

人がいなくなった海を見ると、夏の名残が人を感傷的にする。
ハルもそうに違いない。


直木賞受賞作「対岸の彼女」。
この作品でも、夏休みにアルバイトした女の子二人の話がコアになっている。
夏休みというのは、非日常に触れやすい。

私は「この本と子どもの時に出会いたかった」という後悔はほとんどしない。
大人になって児童文学を読むのは悪いことじゃない。

そして、その本とその時に出合ったのは運命。
悔やんでも仕方ない。

だがもし本書を小学生時代の私が読んでいたなら。
本との付き合い方も変わってきただろう。地味だがそう感じる一冊。

そんな角田光代と同じ時代に生きている。
同じ空気を吸っているというのは奇跡的なこと。
これからも彼女の活躍に期待したい。

角田光代といえば、「八日目の蝉」をまだ読んでいない。
もう図書館でも予約なしに読めるだろう。

話題になった作品を、ほとぼりが冷めてから読むのがとても好き。
読んだ後、大量にアップされた書評をネットで読むのも好き。

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posted by りゅうちゃんミストラル at 07:49| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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