普通じゃない、ひと夏の物語。
キッドナップ・ツアー 新潮文庫 / 角田光代 カクタミツヨ 【文庫】 |
誘拐したのは別居している実の父親。
なので悲惨な話ではない。
頼りない誘拐犯の父親は、妻であるハルの母親に何かを要求している。
その身代金が何のかは、結局明らかにされない。
この結末に、納得しない読者もいるだろう。
しかしだ、この世に明らかにされないことはたくさんある。
ならば、無理に説明しなくてもいいんじゃないか。
私はそう考える。
そもそもこの作品は、謎解きミステリーではない。
父親と娘の物語なのだから。
ハルが海で会ったあの少女はどうしたのだろう。
また会うと思っていたが、再会できない人は多い。
人がいなくなった海を見ると、夏の名残が人を感傷的にする。
ハルもそうに違いない。
直木賞受賞作「対岸の彼女」。
この作品でも、夏休みにアルバイトした女の子二人の話がコアになっている。
夏休みというのは、非日常に触れやすい。
私は「この本と子どもの時に出会いたかった」という後悔はほとんどしない。
大人になって児童文学を読むのは悪いことじゃない。
そして、その本とその時に出合ったのは運命。
悔やんでも仕方ない。
だがもし本書を小学生時代の私が読んでいたなら。
本との付き合い方も変わってきただろう。地味だがそう感じる一冊。
そんな角田光代と同じ時代に生きている。
同じ空気を吸っているというのは奇跡的なこと。
これからも彼女の活躍に期待したい。
角田光代といえば、「八日目の蝉」をまだ読んでいない。
もう図書館でも予約なしに読めるだろう。
話題になった作品を、ほとぼりが冷めてから読むのがとても好き。
読んだ後、大量にアップされた書評をネットで読むのも好き。
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