この作家らしく、ドロドロの世界が展開される。
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娘を殺された教師が復讐する「告白」。
そして、同じくプールで少女が死ぬ「贖罪」。 「少女」もドロドロ。
この作家は、この路線を突っ走るしかないのだろう。
高級住宅地である、ひばりヶ丘で医師が死んだ。
被害者の妻が容疑者として警察へ行く。
向かいに住む遠藤一家。
受験の失敗から癇癪を起こす娘に注意すらできない母親。
頼りにならない夫。
そして、住民を何かと監視する小島さと子が事件を語る。
この作品を読んでいて思い出したのが、98年に起きた和歌山毒物カレー事件。
被告となった女は、状況証拠だけで死刑判決が出た。
事件そのものも異常だが、私が言いたいのは被告が住んでいた家。
野次馬が大勢押しかけ、落書きが絶えなかった。
落書きだけでは済まず、家は2000年に放火され、全焼。
しかも、「悪いことをしていたのだから当然」という意見すらある。
つまり、日本では法律とは無関係にリンチを認めてしまっている。
小島さと子は石を投げて家の窓ガラスを割る権利があると主張する。
著者はこの件を意識していたのだろうか。
人間は悪意を持っている。
その悪意が他の悪意と触れた時、悲劇は起きる。
今日もどこかで癇癪を起こしている娘、息子がいる。
自分の子を叱れない親もいる。
つまり、事件が起きた高橋家と遠藤家は日本中に存在している。
では、この作品で誰かが救われたのだろうか?
残念ながらその可能性は恐ろしく低い。なぜなら、湊かなえの影響力は低い。
加えて多くの読者は「娯楽」としてこの作品を読んでいるからだ。
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