私は作品の世界に引き込まれた。
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主人公は20歳でフリーターの知寿。
両親は離婚し、一緒に住んでいた母親は、中国へ長期滞在。
大学へ行くことを拒否した知寿は、70歳の吟子の家に下宿する。
以下の表現が秀逸。
「型からはみ出たところが人間、はみ出たところが本当の自分」
「いつだって、前もって予定していた別れは、予期せぬ別れよりやりづらい」
(赤字部分、「ひとり日和」より引用)
孤独な若者の心情を言葉を選んで表現した本作品は、価値が高い。
もし、この作品を「退屈」としか評価できない方がいたとしたら。
現代社会をまともに受け入れることのできない「かわいそうな方」。
大いに同情する。
文学には以下のような大きなテーマがある。
1、人とは何か
2、生きるとはどういうことか
この作品は、この2大テーマを的確に表現できている。
もし芥川賞がなければ。
こうした作品が広く世に紹介されることはない。
作品そのものの価値もあるが、芥川賞の存在意義まで証明する。
皮肉ではなく、ありがたい小説だ。
ところで吟子の本名は、荻野吟子。
日本初の女医として知られるあの荻野吟子と同じ名前。
作者の青山七恵は、渡辺淳一の「花埋み」を読んでこの名前にしたのだろうか。
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