充実した内容に感心した。
【送料無料】 つゆのひぬま 新潮文庫 改版 / 山本周五郎 ヤマモトシュウゴロウ 【文庫】 |
最初に収録されている「武家草履」。
このネタは以前時代劇で見た。
私の記憶によると、あれは高橋英樹主演の「桃太郎侍」だったかと思う。
冴えないが正直者の中年武士が草履を作る。
その草履が丈夫だと評判になるが、取り次いだ商人から注文が出る。
「もっと壊れるように作ってほしい」という内容に驚く武士。
ここまではまったく同じ内容。
山本の「武家草履」の場合、武士は草履作りに嫌気が差す。
新道建設の現場に日雇いの口があると聞き、出かける。
だがその現場でも、武士の真面目さが他の作業員から冷たい目で見られる。
人間関係に嫌気が指した武士。
ふてくされているところを、世話になった老人に怒られる。
「陽気な客」
これは時代小説でなく、神戸での出版社での出来事。
気になったのは以下の部分。
「男はいつも女どもによって燔祭にあげられる子羊なんだぜ」
(カッコ内、「陽気な客」から引用)
「燔祭」で思い出すのが宮部みゆき。
彼女は時代小説好きだし、自分でも出している。
短編小説「燔祭」は、この山本作品がヒントになっていないだろうか。
私の思い違いかもしれないが、そのように感じた。
「つゆのひぬま」
岡場所を舞台にした人情物の落語を思い出す作品。
先日亡くなった立川談志の十八番、「芝浜」の世界をイメージした。
短編集としては結構厚く、約400ページ。
だが充実した内容に読みごたえがあった。
私は今まで時代小説を避けていたところがある。
だがこの内容であれば、また読みたいと感じた。
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つゆのひぬま 山本周五郎著
『つゆのひぬま』
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