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内容はとても簡単で高校生にも読める。
古典であるにもかかわらずこの読みやすさはありがたい。
親の財産で気ままに暮らす島村という男が主人公。
見てもいない西洋舞踏を論じる。いわばインチキだ。
その島村が清水トンネルが開通したばかりの越後湯沢を訪れる。
そこで出会う二人の女性、駒子と葉子。
川端らしく、性的なことを直接書かない。
ノーベル賞委員が「日本的な美」をこの作品に見つけたのだろう。
「未来に残したい日本語」という点で言えば、この作品はまさに代表作。
私は岩波文庫版でこの作品を読んだ。
川端自身のあとがきが付いている。
彼自身も、この作品を短編として書き始めたが続編を書くようになったという。
「眠れる美女」の記事に書いたが、川端には「片腕」という短編小説がある。
三島由紀夫は最初に発表された部分だけで終わりだと勘違いしていたという。
なるほど、三島でなくても川端は作品の長さを気ままに決めていたのか。
正直な三島と、きままな川端の性格がよくわかる部分だ。
私は上越新幹線開通前、在来線で清水トンネルを夏と冬に越えたことがある。
あの、長いトンネルを抜けた後見る景色はとても印象深い。
もちろん上越新幹線で冬に新トンネルを抜けたこともある。
景色が変わることは変わるが、在来線とは大きく違う。
この作品の世界を少しでも感じたいのであれば、在来線に乗るべき。
その意味で言えば、新幹線は便利だが無粋で文学的ではない。
有名な書き出し。
国境を「こっきょう」と読むか、それとも「くにざかい」なのか。
以下のようなページさえある。
国境の長いトンネル
「こっきょう」と読む人が多いのかもしれない。
だが日本では目に見える国境というものを認識することが恐ろしく少ない。
それでもかつての日本には多くの国があった。
そう考えれば「こっきょう」が間違いだと考えるのは考えが狭いのか。
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