それがこの「天国はまだ遠く」。
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主人公は23歳の千鶴。
短大卒業後、保険会社に入社するが営業ノルマを達成できない。
仕事ばかりではなく、人間関係にも疲れた彼女。
自殺しようと、木屋谷という田舎の集落にやってくる。
めったに客の来ない民宿にはむさくるしい男、田村がいた。
何と1泊1000円で宿泊できるという。しかも食事付。
千鶴は用意してきた睡眠薬を大量に服用。
自殺を試みるが失敗。ほぼ一日寝たままで、死ねない。
死ぬのをあきらめた彼女は、田舎を満喫する。
田村は野菜を育て、鶏を飼い、釣りをする。
そうした自然の営みは、都会人を救うのかもしれない。
しかし千鶴は気がつく。
ここが自分の住む場所ではないということを。
私は瀬尾まいこの作品を読むのは初めて。
ストーリーは簡単。技巧など関係なしに話は進む。
それでいい。こんな小説があっていい。
作者は教員で、田舎の村落に赴任した経験があるという。
千鶴と同じように、そこで吐いたりしたそうだ。
読んでいて思い出したのは「オズの魔法使い」。
あの作品でも、主人公ドロシーは、生まれ故郷のカンザスに帰ってくる。
時代や国が違っても、結末が同じなのはどこか安心する。
地球が滅亡の危機にならなくていい。
主人公が白血病になる必要はない。
ところで、医者からもらった睡眠薬で死ぬのは困難。
というのも、医師は偽薬を処方できる。
「眠れないから、睡眠薬を出してほしい」という患者がいたとする。
その患者の要求どおりに睡眠薬を出した場合。
一度に全部服用する「オーバードース」をしてしまう患者もいる。
医師は嘘の処方で患者を「騙す」ことが許されている。
次にこの作家を読むとしたら、「幸福な食卓」になるだろうか。
少なくとも、読者を大きく落胆させることはないだろう。
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