「日本を降りる若者たち」は、その実態について書いている。
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バンコクにはカオサンという通りがある。
ここには安宿が集まっており、食事やネットなどインフラも整っている。
1泊300円ほどのゲストハウスに宿泊。
観光もほとんどせずに過ごす人が結構いる。
日本では希望が見えず、人とのつきあいも苦手。
屋台などで美味しいものが安く食べられるバンコク。
ところが最近ではそうもいかなくなってきた。
タイ政府が、長期滞在者の締め出しを行っているからだ。
本書にも描かれているように、以前はノービザで30日滞在。
その30日の間に隣国に行けば、また30日の滞在が可能だった。
多くの長期滞在者は、国境が近いカンボジアに向かった。
ひどい場合は数分のカンボジア滞在でタイに戻る。
ところが今は陸路での入国者に対して15日の滞在しか認めなくなった。
タイ政府にとって、観光などでお金を使わない長期滞在者は悩みの種。
長期のビザを取得するには、タイの銀行に300万円ほど預金する必要がある。
(90日ノービザの話もあったが実現していない)
著者の下川氏は「12万円で世界を歩く」などで知られた人。
バックパッカーとしてタイにも長く住んでいた経験がある。
格安航空券の雑誌も編集した経験があり、その事情にも通じている。
実際に行ってみればわかるが、タイは居心地がいい。
1キロ100円ほどで洗濯してくれるサービスがある。
1時間100円で使えるネットカフェがある。
日本人でも長期借りることができるアパートもある。
世界中から旅行者が集まるので、刺激も多い。
人によってはナイトライフを求めてこの国に行くことさえ、今もある。
だが本書でも描かれているように、日本人滞在者はそう幸せでもない。
登場する女性のように、日本でストーカーに監禁され人生が狂った人もいる。
うつ病の人も結構多いはず。
中には「ここで死ぬために来た」という人さえいる。
では今後、「外こもり」の日本人は減るんだろうか。
それは日本国内の状況次第。
海外での長期滞在をうらやましがる人は多い。
だがその実情は結構暗かったりする。
「初めての海外がバンコク」という人は多い。
学生は慣れない海外に戸惑い、ハイな気分から失敗する。
麻薬や女など、「天使の住む都」バンコクには罠も多く存在している。
これからタイに行く人は、油断しないように。
追記
本書で登場したジミー金村氏とは、以前メールのやり取りをしたことがある。
彼はバンコク市内のバスマップを製作し、大食いで知られる。
久々に彼の名前を見つけて懐かしかった。
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