09年本屋大賞5位だが、順位以上に評価は高い。
![]() 【送料無料】ボックス! |
パターンとしては、いじめられっ子がボクシングを始める「はじめの一歩」。
高校生がインターハイを目指すという点では「一緒の風になれ」を思い出す。
後半の試合部分は種目こそ違うが、「風が強く吹いている」をイメージした。
もちろん曽我部は「あしたのジョー」の丹下段平だ(笑)。
この作品は分厚いが、話自体は簡単。
私は2日で読んだ。
主人公の木樽優紀は高校1年生。中学ではいじめられていた。
高校では優等生で、成績優秀で学費免除。
父親がいない中で家計を助けていた。
そんな優紀の幼なじみが同じ高校に通う鏑矢義平。
勉強はできないがボクシングの才能には恵まれていた。
病弱なマネージャー、丸野の死は小説として反則だ。
ボクシング会場に彼女の遺影が持ち込まれる。
この展開で多くの人が泣いただろう。私のその一人。
どうせ反則技を使うなら、丸野の危篤を描くべきだった。
ボクシング部を辞めたカブが病院に駆けつけるが、丸野の死に目に会えないとか。
丸野が死ぬ間際に、「鏑矢君は私の夢だった」と話しかけるとか。
それと、敵役の稲村をもっと描写してもよかった。
家族に勝利を誓うとか、逆に憎らしい一面があったりとか。
英語教師でボクシング部の顧問となった耀子。
彼女もまた、主人公の一人と言える。
耀子と木樽の視点で話は進む。
マイナースポーツであるアマチュアボクシング。
その世界を耀子が質問し、理解することで読者に対する説明にもなっている。
この点は、「説明」と「描写」が難しいところだ。
話の中に出てくる、「才能と鉱脈」は、多くの分野で見られる。
実に多くの才能が、開花することなく葬られている現実がある。
高校を卒業した木樽と鏑矢が、その後どうしたか。
この描き方も「風が強く吹いている」を私は思い出した。
この作品が高く評価される意味。
それは私にもよく理解できる。
以前、後楽園ホールに何度か新人王決定戦を見に行ったことがあった。
スポーツは、マイナーな競技でも自分が知らない人間ドラマがあって面白い。
文句があるとすれば、誤変換など間違いが多い。
著者もそうだが、編集者が何とか気がつくべき。
もうひとつは文章の稚拙なところ。
せっかくの長編なのだから、洗練された文章がもっと必要だ。
読んでいてもったいないと感じた。
百田尚樹といえば「永遠の0」。
今でも図書館では予約待ちの状態。いつかは読めるだろう。
***********************
関連記事
『BOX(ボックス)!』 百田尚樹
Box! ボックス! 百田尚樹
『ボックス!』百田尚樹
百田尚樹『ボックス!』
百田尚樹 『ボックス![Box!]』
「ボックス!」百田尚樹
百田尚樹 ボックス!
百田尚哉『ボックス!』
ボックス!
百田尚樹/「BOX!−ボックス!」/太田出版刊
「ボックス!」(百田尚樹)
***********************
***トラックバックはテーマに関係するもののみどうぞ。
スパム防止のため承認制です。その場合リンクは必要とはしません。
一部、こちらからはトラックバックを送れないブログがあります。
コメントについても承認制です。コメントする人は、まず挨拶しましょう。
【関連する記事】
二部構成にしたのは、面白かったと思いますが、仰るとおり文がこなれておらず、いたずらに長くなっている印象も受けました。
物語は面白かったので「錨を上げよ」を読んでみたら、上巻で挫折^^;そのため、読みたかった「永遠の0」二手を出すのを躊躇している次第です…。
トラバのお返し、させて下さいね。
コメントありがとうございました。
「素人っぽい文章」というのは私は結構好きです。
でもこの作品はもう少し何とかならなかったかと考えます。
トラックバックですが、コメントと同じタイミングで表示しました。
今後ともよろしくお願いします。