(この記事、ネタばれあり)
ジョーカー・ゲーム (角川文庫) (文庫) / 柳広司/〔著〕 |
舞台は昭和12年の日本。
スパイ養成を目的とした「D機関」が発足した。
<ジョーカー・ゲーム>
D機関創立に尽力したのは元スパイの結城中佐。
奇抜な方法で人材を集める。
「来る途中にあった階段は何段か」というのは、ホームズでも出てきたはず。
回文は、暗号解読のために必要。
当時、天皇制の正統性と合法性について共産主義者以外が語っていた。
それに対して怒る佐久間と結城の切り捨て方が興味深い。
この天皇制の話が、ゴードンの持つマイクロフィルムに大きく関係する。
<幽霊>
横浜のイギリス総領事が日本でのテロ事件に関与しているか否か。
それを探るのが今回の指令。
D機関のエージェントが総領事のチェス相手となって調査を始める。
限られた時間内にミッションを終了することができるか。
<ロビンソン>
写真館に勤務する伊沢は、ロンドンに赴任したD機関出身のスパイ。
だが、新人外交官によって正体がばれてしまう。
伊沢は異国で捕らえられ・・・
結城から伊沢へ、餞別として送られたのはロビンソンクルーソーの本。
この展開は私には読めなかった。
髪の毛をドアにはさんでおく方法は古典的。
尾行をかわすために、乗り物が発射する寸前に降りるやり方。
これも古典的で、「名探偵コナン」で紹介されていた。
<魔都>
舞台となった上海に配属された本間。
及川大尉から秘密の命令を受ける。
人を思うように動かすこと。
その影にいたのはD機関のエージェントだった。
これも、結末が読めなかった。
エピソードが終わりそうになって最初のページを読み返す。
それは作者にとって「してやったり」の瞬間。
<XX>
ドイツからやってきた記者のシュナイダーが殺された。
実は彼こそソ連の二重スパイだった。
D機関の「卒業試験」としてこの事件を担当することになった飛崎。
彼の不幸な生い立ちが、事件に影響する。
作品に出てくる手品師の選択(マジシャンズチョイス)。
これについてドラマ「古畑任三郎」にも出てきた。
(古畑の時は「マジシャンズ セレクト」と言っていたが、内容は同じ)。
日本では、スパイ小説が少ない。
その中にあってこの作品はスパイの初歩として読者の興味を引く。
09年本屋大賞の3位というのは納得できる。
逆に言えば、本屋大賞のランクは私にとって読む本の指針になる。
もちろん例外はあるけれど(汗)。
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