読みやすく、多くの人が高く評価するのがよくわかる。
![]() 映画化決定!!主演: 中谷美紀 さん 2011年公開<文庫>阪急電車(著) 有川 浩 |
舞台は片道15分、たった8駅しかない阪急今津線。
電車に乗り合わせた人たちのドラマを描いている。
「宝塚駅」
最初の登場人物は征志。
図書館で同じ本を読んでいる女性と乗り合わせる。
車内から中州に見える「生」の文字をきっかけに話をするようになる。
「宝塚南口駅」
結婚式で新婦より目立とうと白いドレスを着た翔子。
それが彼女にとっての「討ち入り」だった。
これって実際にありそうな話。
彼氏を寝取った新婦の狡さが光る。
結婚した夫婦は幸せなのか。フィクションだが気になる。
夫婦ゲンカになったら、結婚式のことが不満として出るはず。
「逆瀬川駅」
夫に先立たれ、犬を飼おうか考えている時江。
結婚式に白のドレスで臨んだ女性、翔子にアドバイスする。
「小林駅」
時江に言われてこの駅で下車する翔子。
ツバメの巣と七夕飾りを見て納得する。
「仁川駅」
暴力を振るう彼氏と物件探しに出た女性。
車内で彼が怒り出し、ドアを何度も蹴る。
時江はミサに対して、男と別れるようアドバイスする。
孫にも厳しい時江ばあちゃんは、言うことがシビア。
しかし元高校教師らしく、厳しいばかりではない。
この作品での司令塔は間違いなく時江。
「甲東園駅」
彼氏が怒って下車した後、ミサは考える。
乗り合わせた女子高生の話を聞き、別れを決意するミサ。
「門戸厄神駅」
パンクの大学生、圭一は車内で美帆という同じ大学に通う女の子と出会う。
軍オタ圭一と苗字にコンプレックスのある美帆。
ここで話が終わりかと思ったら、折り返しになる。
作者のアイデアが光る構成。
後半は、登場人物たちのその後が描かれる。
平面的だった作品が立体的に変身するのはここから。
復路では、香水の匂いが強いおばちゃんたちをとっちめるのが面白かった。
やはり悪は成敗されなければ(笑)。
著者は「桂月」の産地である高知県出身。
大学時代、今津線の沿線に下宿していた。
旦那のアドバイスでこの短編集を書くようになったという。
「あとがき」に出ていた。
もうひとつ「あとがき」で紹介されていたのが漢字の読めない彼氏のエピソード。
実話だったとは、さすが関西。面白い話があちこちに転がっている。
電車の乗客たちによるエピソード。
それを短編でつなぐという手法。
今までこうしたアイデアはなかったのだろうか。
なかったとしたらそれが不思議。
テーマはまったく違うが、「その日のまえに」(重松清)を思い出した。
「いい駅」と時江が話していた小林駅。
一度、阪急電車に乗って降りてみたい。
次に有川作品を読むとしたら、「図書館戦争」シリーズになるのか。
***********************
関連記事
有川浩『阪急電車』
「阪急電車」有川浩
「阪急電車」有川浩
「阪急電車」 有川 浩
「阪急電車」/有川 浩
「阪急電車」有川浩
阪急電車<有川浩>−(本:2009年24冊目)−
阪急電車(有川浩)
『阪急電車』 有川浩
阪急電車 〔有川 浩〕
***********************
***トラックバックはテーマに関係するもののみどうぞ。
スパム防止のため承認制です。その場合リンクは必要とはしません。
一部、こちらからはトラックバックを送れないブログがあります。
コメントについても承認制です。コメントする人は、まず挨拶しましょう。
【関連する記事】