小川洋子の作品としては「猫を抱いて象と泳ぐ」に続く2冊目。
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主人公は30歳に満たないシングルマザーの家政婦。
今まで9人をクビにしてきた60代の博士宅に派遣されることとなった。
息子は10歳の小学生。誕生日は同時多発テロの9月11日。
頭の形が平らなことで博士から「ルート」と呼ばれる。
派遣先の博士は交通事故で記憶が80分しかもたない。
元大学の教員で、数学に関しては異常なほどの知識を持っている。
他に登場人物としては、博士の義理の姉がいる。
物語のほとんどが、博士の住む離れの中。
主人公と博士、そしてルートの3人での会話で成り立っている。
この作品は映画になっている。
博士は寺尾聰。主人公の家政婦は深津絵里が演じた。
私は映画を見ていないが、イメージとして浮かぶのは深津絵里。
私は数学が苦手。
中学1年ですでに「自分は文系」と決めていたくらい。
もし、興味を持つような先生と出会ったら。
数学が好きになっていたかもしれない。
数学が苦手なのは、自分のせい。
それを棚に上げ、私はそう感じた。
そんな私でも高校で数学教師の言葉が記憶に残っている。
「整数というのは大数学者が一生かかっても調べることができないくらい深い世界」
まさにその「深い世界」をこの博士は探検している。
虚数に素数。
数字というものにこれだけ執着できる人がいる。
しかも、数字や数式を美しいと感じる。
私にはまったく考えもしないこと。
虚数といえば、「聖女の救済」(東野圭吾)を思い出す。
「容疑者Xの献身」に出てくる石神も数学者だった。
石神も研究を続けていたら、博士のようになっていたのだろうか。
阪神戦観戦の場面で次々に出てくる野球のデータ。
ダスティン・ホフマン主演の映画「レインマン」を思い出した。
(ホフマン演じるレイモンドは事故ではなく、サヴァン症候群)
読んでいて感じたのは、江夏豊がヒーローだという事実。
本人はもちろんこの作品を知っているだろう。
引退した後でこうした作品が出るのは実に名誉なこと。
(検索したら、作者は阪神ファンだそうだ)
この作品は第1回本屋大賞で見事1位。
読んでいて納得。この作品なら、多くの人が受け入れるはず。
小川洋子は読者に安心感を感じさせる作家。
「猫を抱いて象と泳ぐ」もそうだった。
村上春樹もそうだが、この手の作家は飽きられることが少ない。
逆に、大きなドラマなしに物語を表現する能力が必要になる。
次に小川洋子の作品を読むとしたら「ミーナの行進」だろうか。
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「博士の愛した数式」小川洋子
文学にみる障害者像 小川洋子著 『博士の愛した数式』
↑この作品について、医学の観点から述べているページ。
私と同じく「レインマン」を連想している。参考にさせていただいた。
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