2011年07月06日

「猫を抱いて象と泳ぐ」小川洋子

「猫を抱いて象と泳ぐ」は、幻のチェスプレーヤーが描かれた作品。
本屋大賞2010年の第5位。小川洋子の作品を初めて読む。
   

後に「リトル・アリョーヒン」と呼ばれることになる少年。
彼はプールでの遺体発見からチェスを知る。

回送バスで太ったマスターからルールを教わり、実力をつける。
だが、彼は盤の下に潜るという変わった指し方をした。

普通には指せない彼は、人形の裏でチェスをすることになった。
物語は淡々と進む。

象とビショップの関係。
ミイラとの出会いとチームワーク。

そしてエチュードでの生活。
作品中にも紹介されているが、かつて「トルコ人」という機械があった。
詳しくは以下のページに出ている。

トルコ人 (チェス)

この作品は、「小説の舞台となった世界を楽しむ」もの。
謎解きでもなければ、チェスの世界チャンピオンを目指すわけでもない。

そうなると、著者の力量が問われる。
誰にも支持される作品ではないかもしれない。

それだけに、冒頭で紹介した本屋大賞2010年の第5位は驚き。
読んでいて、私は映画「海の上のピアニスト」に近い世界だと感じた。

物語の後半、ミイラと手紙でチェスの対戦をするアリョーヒン。
こうした対局は、「郵便チェス」または「通信チェス」と呼ばれる。

ネット全盛の現代からすると、かなりじれったいこと。
作品でも描かれたように、それはそれでいいところがあるのだろう。

私は下手だけど、チェスを指す。
なのでこの作品の世界に、すぐに入ることができた。
指さない人はどうなんだろう。

恥ずかしながら棋譜はこんな感じ。

チェスの棋譜その9   チェスの棋譜10

↑ソフト対戦用にキャスリングはしない。
オープニングは必ずクローズドゲームを選択する。

残念ながら、日本はチェス後進国。
なので似たような実力のある人とは、直接出会うことが難しい。

私はリトル・アリョーヒンと違ってビショップを上手に使うことが苦手。
なので序盤で敵の駒と交換することも多い。

彼のように、チェスの世界を海に例えることはできない。
ただ、過去の棋譜を検索してその人を想像することはある。

自分の指した手と同じ形が、1930年代にもあった。
そう考えるだけで、すごくロマンを感じる。

海といえば、将棋を描いた漫画「ハチワンダイバー」でも主人公は将棋盤に潜っていた。
どんな世界でもレベルが上がると違う世界が見えるものらしい。


この小説を今読むのは、私にとっては運命かもしれない。
先日読んだのが「盤上の敵」(北村薫)だったから。

次に小川洋子の作品を読むとしたら。
「ミーナの行進」だろうか、それとも「博士の愛した数式」になるか。

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↑私同様に、「海の上のピアニスト」を連想したという記事。
こうしたブログ記事がすぐに検索できるのはネットのいいところ。

猫を抱いて象と泳ぐ

『猫を抱いて象と泳ぐ』小川洋子

小川洋子『猫を抱いて象と泳ぐ』

「猫を抱いて象と泳ぐ」小川洋子

猫を抱いて象と泳ぐ

読書日記216:猫を抱いて象と泳ぐ by小川洋子

「猫を抱いて象と泳ぐ」静かで熱い唯一の物語を読む幸せ

猫を抱いて象と泳ぐ

「猫を抱いて象と泳ぐ」小川洋子

【本】猫を抱いて象と泳ぐ

「猫を抱いて象と泳ぐ」 小川洋子

猫を抱いて象と泳ぐ / 小川洋子

『猫を抱いて象と泳ぐ』/小川洋子 ◎

猫を抱いて象と泳ぐ<小川洋子>−(本:2009年読了)−

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posted by りゅうちゃんミストラル at 09:13| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(4) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 トラックバック有難うございます。私がこの作品を読んだのは2009年の4月でしたけど、この作品が小川洋子作品との初めての出会いでした。その後、「博士の愛した数式」をはじめ「妊娠カレンダー」「偶然の祝福」「夜想曲集」など、ずいぶんたくさんの小川作品に触れました。つい先日も「人質の朗読会」を読んだばかりです。小川作品、はハマります。
 長編も素敵だけれど、短編もとても面白いです。「偶然の祝福」の中の「「涙腺水晶結石症」が特に好きです。
Posted by Michiko at 2011年07月06日 17:32
Michikoさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

上にも書いたように、私もこの作品が初めての小川洋子作品でした。

上のページを更新した後、「博士の愛した数式」を読みました。
今、「ミーナの行進」を読んでいるところです。

短編は、そのうち探してみようかと思います。
読みたい本が今はたくさんあり過ぎます。
Posted by りゅうちゃん at 2011年07月08日 17:14
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