(この記事、ネタばれあり)
【中古】文庫 地下街の雨【画】 |
この本は、7つの短編から成り立っている。
「地下街の雨」
婚約破棄された女性がバイト先で出会った森井曜子。
彼女はどこか危ない雰囲気があった。
「決して見えない」
終バスが出て行った後のタクシー乗り場。
だがタクシーはやってこない。
そこで出会った男は・・・
死神が宮部作品に出てきたのはこれが初めてか。
私は記憶にない。
「不文律」
車ごと埠頭から海に落ちた4人家族。
なぜ彼らは死ななければならなかったのか。
一家心中事件と誘拐ごっこ。
何の関係もない二つのことが結びつく点。
そして関係者の証言だけで作品となっている点が宮部らしいところ。
「混線」
夜中、妹にイタズラ電話をかけてくる男。
電話には、裏の組織があった。
この作品、別の作家ならどう表現しただろうか。
都市伝説は今後も長く生き続けるだろう。
「勝ち逃げ」
教育者として長いキャリアを持つ叔母。
その彼女がガンで亡くなった。
彼女には、ある秘密があった。
「ムクロバラ」
家でも「デカ長」と呼ばれている刑事。
彼の元を何回か訪れる橋場という男。
「ムクロバラを捕まえてください」という嘆願だった。
ムクロバラは橋場がナイフで殺してしまった男。
橋場の正当防衛は認められたが、トラウマになっているらしい。
裁判は判断するものの、物事を解決するわけではない。
それをこの作品は明らかにしている。
この中で紹介された事件はこれ。
西船橋駅ホーム転落死事件
1986年、泥酔した男が駅のホームで女性に絡んだ。
掴みかかったこの男を女性は突き飛ばし、男は線路に落ちた。
そこへ来た列車に男ははねられて死亡した。
この件は裁判で正当防衛が認められた。
もうひとつ紹介されたのが、松川事件での広津和郎。
この文章が記憶に残る。
「あなたは、他人が足を踏まれているのを見て、ああ痛そうだなとは思わないのですか」
(「ムクロバラ」から引用)
再読しなければ、忘れるところだった。
宮部は広津と西船橋駅の事件が気になり、この作品を書いた。
「さよなら、キリハラさん」
音が消える現象が、一家には起きていた。
混乱する一家に「音の総量規制」を担当するキリハラさんが現れた。
彼は元老院の命を受けて派遣されたという。
宮部作品の多くは、ブログが世に広まる前に読んだ。
そのため、ブログで書評を書けなかった。
今後は再読しながら書評を書き、なおかつ最新作も読みたい。
「地下街の雨」は一度読んでいるにもかかわらず面白く感じた。
たまには再読も悪くない。
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