この第二部は大いに感動したし、読んでいて不覚にも泣いた。
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高校から陸上を始めた新二だったが、守屋に説得され部長となる。
選手としても、めきめきと実力をつけていく。
第二部、大きな出来事は連の肉離れ。
三輪先生(みっちゃん)は医師とも相談し、南関東には間に合わないと判断した。
メンバー変更を余儀なくされるリレーチーム。
連は南関東に間に合わせようとして全力で走り、三輪先生は激怒。
容赦なく連をひっぱたく。
実は三輪にはケガで辛い過去があった。
大学時代、膝を壊して引退せざるを得なくなった。
第一部でも書いたが、このエピソードも「風が強く吹いている」と共通する。
もし、二つの作品がつながっていたとしたら。
三輪先生はハイジを箱根で走らせていただろうか。
逆にハイジは連にどんなアドバイスをしただろう。
作者の違う作品同士、しかもフィクションの土台から妄想する。
それは意味があることじゃない。
しかし、妄想は読者の特権であり勝手だ。
どちらにしろ、将来のある選手を無理に走らせなかったのではないか。
このエピソードでの守屋の謝罪が大きく私には響いた。
守屋こそこの陸上部の大黒柱だったことが良くわかる場面だ。
そしてもうひとつの大きなポイントは健一の事故。
兄はジュビロで念願のJリーガーになった。
新二にスパイクをプレゼントして磐田へと生活の場を移す。
だが、そんな兄が自動車事故で膝に大ケガを負う。
私は京谷和幸のことを思い出した。
京谷を初めて見たのは大宮サッカー場だった。
それまで対戦する機会がなかった高校とクラブユースとの大会、全日本ユース。
そのプレ大会に京谷は室蘭大谷高校の一員として出場。
一目見て、私はすごい選手を見つけたとすぐに確信した。
ジェフとの契約でプロとなった彼の活躍を私は楽しみにしていた。
だが、彼の名はその後サッカーでは見かけなくなる。
自動車事故だった。
そのまま活躍していれば日本代表も夢ではなかった。
その後、失意の中彼は車椅子バスケット選手として再出発する。
交通事故という点では羽中田昌もバイク事故でサッカー選手の夢を絶たれた。
恵まれた才能がありながら、活躍できなかった選手は多い。
健一と神谷一家に訪れた悲劇は、何も小説の中だけではない。
実際にある話だ。
だが健一は手術と長いリハビリを選択し、サッカー選手として復帰を目指す。
陸上部の練習にも出てこなくなった新二。
丹沢湖での駅伝でチームメイトの応援をすることで何かを取り戻す。
新入生も入って新二たちの責任は大きくなる。
その中でライバルたちとの戦いと恋はどうなっていくのか。
話は分厚い第三部へと続く。
「一瞬の風になれ」第三部 佐藤多佳子
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