第135回直木賞受賞作。この記事、ネタばれあり。
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この本は、以下の短編で構成されている。
「器を探して」
天才的なケーキ職人の秘書である女性が主人公。
クリスマスイブに、洋菓子に合う器を探しに岐阜まで行くことに。
女性の彼氏は指輪を用意してプロポーズする予定だった。
余計なお世話だけど、彼女は結婚してこの彼とうまくやっていけるのだろうか。
懐の狭い彼との今後が気になった。
「犬の散歩」
子どものいない主婦が、薬殺される運命にある犬を救おうとボランティアに。
自分で預かっている2匹の犬は、なかなか飼い主が見つからない。
シャンパン代をくれた客。
そして結末はなかなかの爽快感。
なんでも牛丼で換算することは私もよくやる。
「1カレー」とか。
「守護神」
ある大学の2部には、レポートを代筆してくれる伝説的な女性がいた。
ホテルでアルバイトしている主人公は4年で卒業すべく、この女性に依頼する。
だが、彼女が依頼を引き受けるには厳しい基準があった。
「鐘の音」
美大で仏像製作をしていた主人公。
自分に見切りをつけ、仏像修復への道に入る。
ある寺から依頼された仏像をきっかけに、主人公は師匠の元を飛び出す。
梵鐘とウエディングベルの結末は出来すぎ。
私にはついていけなかった。
このエピソードを書くために、作者はどれほどの取材をしただろうか。
それを読者は1時間もかけずに読んでしまう。
この取材が、作者にとって「作家の肥やし」になることを願う。
「ジェネレーションX」
出版社に籍を置く中年男性が主人公。
こじれたクレーム処理のため、都内から宇都宮へ向かう。
車に同乗するのは玩具メーカーから来た若者。
結末が出来すぎている。
「風に舞いあがるビニールシート」
外資系の銀行からUNHCRに転職した女性が主人公。
上級職員のアメリカ人エドと結婚するものの、やがて離婚。
そのエドは危険な国で少女をかばい死亡する。
上司は彼女に事務所ではなく現地で勤務したらどうかと話す。
離婚の原因に子どものことがある。
主人公は欲しいと考え、エドは要らないと主張。
エド自身も、自分の生い立ちから考えが変わっていることを知っていたはず。
にもかかわらず、夫婦間で大切なことを話し合わなかった。
結婚する際、子の問題が出てくるのは必至。
にもかかわらず、それを無視して結婚するだろうか。
国際結婚は違う?
私には理解できないことだ。
作者の森絵都は児童向けの作品で知られている。
本書は一般向けだが、直木賞を取るだけの実力は持っている。
そのことは、多くの読者が認めているだろう。
この短編集で、何が足りないか。
それは、人物の描き方ときっかけだと私は考える。
登場人物がどんな人間なのか。
作者は必要以上に語らないようにしているのだろう。
それが狙いだったとしても、「この人どんな人?」が気になる。
もうひとつは、主人公にとってのきっかけがよくわからない。
たとえば「守護神」の主人公。
なぜ大学で学ぶのか。
文学に対して粘着質なくらいに向き合う主人公。
にもかかわらず、30歳で大学生。
何が彼をそうさせるのか十分に表現できてない。
ナンパと合コンが趣味だというが、それは今の彼には物理的に無理。
話に無理がある気がするのは私だけか。
1年前と今の表現も違いがよくわからない。
表現が平面的なのか、私の読解力が不足しているのか。
登場する主人公たちは、誰もが「目立たないがどこかにいる人」。
悲劇で終わらないところが、読んだ後の爽快感になる。
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