2011年05月30日

「アヒルと鴨のコインロッカー」伊坂幸太郎

「アヒルと鴨のコインロッカー」を読んだ。
(この記事、ネタばれあり)

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本屋を襲撃して広辞苑を奪う。
文庫本の解説に出ているように、村上春樹の「パン屋再襲撃」を思わせる始まり。

現在と2年前の出来事を交互に表現することで、話は進む。
このカットバック方式で、読者は過去に何があったか知る。

春樹で言うなら「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」。
漫画なら、手塚治虫のライフワーク、火の鳥「太陽編」。

河崎、ドルジ、琴美に何があったのか。
それを2年後に「参加」する椎名の目で現在は語られる。

前半に放たれた伏線が、後半に収束する。
書き始めから計画された作家の力量がなければ、この作品は破綻する。

伊坂の作品を読むのは「ゴールデンスランバー」、「死神の精度」に続いて3冊目。

期待が大きすぎるのか、どれも「快心の作品」ではなかった。
「神様を閉じ込めて」とか、私は登場人物に感情移入できないことが多すぎ。

過去に読んだ3作品で伊坂を絶賛するのは、伊坂自身に失礼ではないか。
今はそう感じている。

次に読むとしたら、「オーデュボンの祈り」か「ラッシュライフ」。
そして「重力ピエロ」になるのか。

伊坂は読者を引き込むことにかけては才能のある作家。
今後読む作品には期待したい。

追記

この作品に出てくる「輪廻」という考え方。
私は多くの人と同じようにに死んだことがない。
だから、私には輪廻を肯定も否定もできない。

伊坂の作品から脱線するが、以前にこの作品についてブログで書いた。

「ナルニア国物語 ライオンと魔女」  

上の記事は、以下のブログ記事とつながっている。

598「ナルニア国物語 ライオンと魔女」C.S.ルイス/瀬田貞二〈図〉

以下の疑問を思い出した。

ちょっぴり疑問なんですが、蘇ることがわかっているのにアスランが悲しくてさびしかったのは何故なのでしょう?
(太字部分、上記のブログ記事から引用)

私は上記の疑問に対して、二つの答えを考えた。
そのうちのひとつは、キリスト教的世界観によるもの。

似たような話が、「アヒルと鴨のコインロッカー」には出てくる。
ブータン人のドルジは、輪廻を信じる。

しかし、河崎と琴美の喪失感についてこう語っている。
「生まれ変わるはずなんだから悲しくないはずなのに、悲しい」
(これも本作品から引用)

キリスト教的世界観でなく、輪廻を信じるブータン人でも悲しい。
つまり、蘇ることが分かっていても悲しいということは宗教や文化を超えている。

もちろん、ドルジは伊坂がイメージしたブータン人。
ブータンを代表するわけでもなんでもない。

だが、「生まれ変わりを信じていても死は悲しい」という考え。
これの補強材料にはなるんじゃないか。

ある作品の答えを、別の作品から考える。
これも春樹がよく使う「繋がっている」ということになるのだろうか。

追記その2

脱線ついでにもうひとつ。
「アヒルと鴨のコインロッカー」の前に読んだのが、湊かなえの「告白」。
「HIVつながり」というのは単なるこじつけだろうか。
それとも、春樹の言う「繋がり」はここでも生きているのか。

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「アヒルと鴨のコインロッカー」 伊坂幸太郎

「アヒルと鴨のコインロッカー」伊坂幸太郎 

アヒルと鴨のコインロッカー

アヒルと鴨のコインロッカー(伊坂幸太郎・創元推理文庫)

右斜め上文庫版での違いについては考えたこともなかった。
琴美のキャラクターに変化があったとは。

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