2011年05月27日

「告白」湊かなえ

09年、本屋大賞を受賞した「告白」を今になって読んだ。
(この記事、ネタばれあり)
   
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市立中学で1年B組の担任、森口悠子。
彼女の告白でこの作品は始まる。

彼女は教員を辞めるという。
この中学では、森口の4歳になる娘がプールで死んだ。

生徒たちはその事件が影響していると想像する。
だが、事故と判断された娘の死には裏があった。

長い告白だった。
森口はこのクラスに犯人がいると話す。
牛乳を飲む取り組みが行われていた。

娘を殺した犯人の少年二人。
その牛乳の中に、HIV患者の血液を入れた。
森口はそう告げる。彼女にとって、それが復讐だった。

森口が語る第一章。
続く第二章は委員長の美月が語る。

彼女の視点でプールでの死亡事故と、その後の復讐。
復讐から起きたいじめが語られる。

第三章は、犯人の一人である少年の姉。
母親の日記とともに、別の視点で事件は語られる。

第四章は犯人の下村。
明らかに異常な彼の内面を読むのは嫌になる。
担任によって始まった復讐は、別の殺人事件を引き起こす。

第五章は、もう一人の犯人、渡辺。
殺人事件を起こすことで、別れて暮らす母親との再会を望む渡辺。

そして第六章。森口の再登場でこの作品は終わる。
彼女の復讐は、牛乳の一件で終わっていなかった。


不毛な小説だ。
復讐は何も生み出さない。

しかも、森口の復讐は回りくどい。
他の人を巻き込むところも理解しがたい。

この作品が評価されるということ。
それは、森口に共感した人が多かったということなのか。
この点も私には理解しがたい。

復讐で思い出すのは東野圭吾の「さまよう刃」

娘を殺された男が、銃を持って犯人たち少年二人を狙う。
「告白」と同じく少年法への疑問も問いかけられていた。

復讐がいいこととは思わない。
もし個人での復讐を認めてしまったら、法治国家ではなくなってしまう。

イスラム世界なら違うのかもしれないが、個人での復讐は日本では認められない。
しかも、復讐に関係のない人を巻き込んでいいわけがない。

もうひとつ思い出すのは、同じく東野圭吾の「容疑者Xの献身」
石神の選択を「純愛」と呼ぶ読者は、「告白」での復讐を認めてしまう。
そんな気がする。

この作品、図書館でも順番待ちが多くてなかなか読めなかった。
多くの人が読んだ後、静かに話題作を読む。

それは意味があることかもしれない。
他人の意見に関係なく、自分で作品の評価ができるからだ。
もちろん、順番待ちの間に書評を読まないことが大切になるけれど。

私は一度読んだ本を再読することが少ない。
そんな時間があれば、自分の知らない本をもっと読みたいから。

この「告白」は、そんな私が再読しないリストの上位に入るだろう。
それだけは間違いない。

追記

「世直しやんちゃ先生」のモデルは「夜回り先生」こと水谷修氏。
そして「ヤンキー先生」の義家弘介氏。
何でもいいけど、このネーミング何とかならなかったのか。

追記 その2

書くかどうか迷ったが、書くことにする。
陳腐な言い方だが殺された娘は、母親の復讐を喜んだだろうか。

それとも母親の手が汚れることに対して悲しんだか。
私は後者だと勝手に解釈する。

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