2006年06月20日

光市での母子殺害。最高裁判決(別館)

1999年に山口県光市で起きた母子殺害事件。
最高裁で今日(20日)、判断が出た。

この記事は、母子殺害、最高裁差し戻し判断(りゅうちゃんミストラル)を補完するためのものです。

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せめて被害者にこの花を捧げます。


光市の母子殺害、無期懲役を破棄・差し戻し…最高裁(読売新聞)

この事件では、被告の男が犯行当時18歳だった。
今までの環境にも問題があったようだ。
そのため「死刑か無期か」で論争になった。
またこの事件で家族を殺された方が、死刑を強く望んでいることも話題になった。
さらに、選任された弁護士が裁判を欠席して各方面から強い非難を浴びた。

一審と二審では「更生可能性がある」として無期懲役の判決が出た。
だが今日の最高裁の判断は違った。
広島高裁での差し戻し審で死刑判決が出る可能性は固まった。

この事件では、死刑制度について語られることがある。
というのも日本における刑で最も重いのは死刑だ。
しかしその次に重い刑は無期懲役。
しかも日本における無期懲役は「終身刑」とは違う。
よって社会に出た元囚人による再犯の恐れがある。
また犯罪被害者にとって憎き犯罪者が社会復帰できることが何よりも許せない。
その気持ちはよく理解できる。
もし私がこの事件で残された犯罪被害者だったら、やはり同じことを考えるだろう。

では死刑を認めるのか?
ということを問われると、私は悩んでしまう。
なぜなら、「死刑にしてしまうことが救いになる」ということがあるから。
死刑を覚悟した者に死刑を執行するのではなく、「死刑にしないで考えさせる」という方法もあるのではないか?
そうも考えてしまう。

確かに大阪教育大学付属池田小学校での事件。
元死刑囚の男は裁判ですら死刑を覚悟していた。
この事件の場合、比較的早く死刑は執行された。
こうした場合に死刑は役に立たないのではないか?
私は今でもそう思っている。

「死刑は残虐な刑」という考え方がある。
確かに人の命を奪う死刑という刑罰は残虐であるとの考えもできる。
「刑法が殺人を否定しているのに、死刑が存在してもいいのか?」
という考えは、死刑廃止論者からよく聞かれる言葉だ。
しかしもし日本に終身刑が存在していたら、それこそ残虐な刑かもしれない。
それこそ「その囚人は何のために生きているのか?」ということを考えてしまう。
「終身刑の囚人は反省のために生きている」ということも言えよう。
だが本当にそれでいいのか?
私はまだ結論が出せないでいる。

死刑執行人のことも私には気になる。
私はかつて以下の記事を書いた。

人を殺す仕事とイラク自衛隊派遣(りゅうちゃんミストラル)

ここで人工妊娠中絶をする医師と一緒に、死刑執行の刑務官について述べた。
一方で殺人は許されていない。
なのに刑務官はそれを仕事としている。
死刑という刑罰が存在している間、刑務官の悩みは尽きることがない。
もちろん刑務官の悩みは死刑執行の間だけではない。
「自分が殺人犯であろうが人を殺した」ということに死ぬまで悩む。
死刑執行を語るにはその影に重い現実があるということを忘れてはならない。

それでは今回の事件で死刑は妥当だろうか?
今まで死刑については疑問を投げかけてきた私だ。
今でもその考えに変わりはない。
しかし、この事件を自分の近くにいる人が被害に遭ったと置きかえて考えれば、死刑は仕方がない。

被告人が出したというあの手紙。
(詳しくは「山口県光市 母子殺害事件に差し戻し判決.犯人獄中書簡にみる人間の愚かさと不可解さ」参照)

ここには反省の気持ちなどなかった。
犯行の残虐性、被害者が女性と乳児二人であること。
その動機(強姦目的)と反省、更生の可能性が薄いこと。
これらを考えれば死刑が妥当と言わざるを得ない。
今までの自分を自分で否定した結論になってしまったが、これは司法の限界ではないかとも考える。
前にも書いたように今現在、日本には終身刑がない。
もし日本に終身刑があれば、死刑にしないという判断もありうる。

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