パンタナール大湿原を離れたネイトはデング熱にかかる。
高熱を出したネイトは、病院に運ばれた。
医師の診断はデング熱。
手当てにより、回復に向かう。
勝手に病院を抜け出したネイト。再び高熱に倒れる。
その後、回復したネイトはアメリカに戻る。
トロイの愚かな子どもたちが、裁判所に訴えていた。
遺言書を管理する敏腕弁護士のスタフォード。
レイチェルがネイトを代理人にしたことで、騒動を解決しようと画策。
莫大な財産を、愚かな人間たちに渡さないために。
数々の医療訴訟に勝ってきたたネイトは、トロイの息子たちや使用人を質問で粉砕。
このあたりは作者の得意とするところ。
しかし、レイチェルを欠くことは大きな問題だった。
レイチェルのサインを求めに、パンタナールに戻るネイト。
以前とは何か様子が違う。そこで彼が見たものは。
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途中まで読んで、「カタルシスが足りない」と私は感じていた。
私の予想した内容は、レイチェルがアメリカに帰国するというもの。
財団の事務を、ネイトに託す。そしてブラジルに帰る。
私の予想は大きく外れた。
残り50ページを読み、「この作家、やるな!」と感心した。
売れている作家の作品には読者に受け入れられる理由が何かある。
いい小説とは何か。いろんな考え方がある。
この作品で言うなら、「この後、登場人物はどうなるのか?」という点を読者に考えさせる。
フィクションにもかかわらず。
レイチェルは死んだ。
しかし彼女の想いはネイトが継承する。
ネイトは生涯レイチェルを忘れることはない。
アルコール抜きの生活で財団を運営できるだろう。
もちろんジェヴィを雇って。
もうひとつ、この世に「リアル・レイチェル」は何千人も存在する。
彼女たちが滅亡しない限り、神はこの世を滅ぼさない。
そう考えれば、この作品は現代の神話と言える。
もともとトロイが財団を作り、レイチェルを支援すれば話は簡単だった。
しかし、それではアル中の弁護士ネイトは救われない。
物語にも苦労して現地に向かう使者が必要なのだ。
読み終わった今、そのことを強く思う。
タイトルのテスタメンとは遺言の意味。
もうひとつの意味は、聖書。
翻訳者は、キリスト教的世界観が、日本人に受け入れられるか気になったはず。
この作品の内容は普遍的で宗教を超越している。
この作家、読むに値するものを持っている。
今後も作品を読む価値はあると判断した。
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