山崎渾身の作品。
主人公は壱岐正。敗戦を伝えに満州へ飛んだ。
大陸に残り、そのまま抑留となった。
東京裁判で、ソ連側の証人となった壱岐。
その際、秋津中将は青酸カリで自殺。
ソ連に戻された後も資本主義幇助罪で有罪に。
飢えと寒さ、孤独が抑留者を襲う。
立ったまま狭い小屋に閉じ込められる。
仲間は労役を拒否するため、自ら手の指を切り落とす。
このあたりは読んでいて辛い。
何とか生き残った壱岐。
自衛隊の次期戦闘機選定争いに巻き込まれる。
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出てくる人物は多彩。
しかし、人脈は狭いともいえる。
たとえば、東京裁判で弁護士だった清瀬一郎。
彼の息子、清瀬信次郎は亜細亜大の名物教授(商法)だった(06年死去)。
壱岐のモデルは瀬島龍三と言われたこともあった。
実際は複数の人物がミックスされているという。
中佐、参謀であること。東京裁判で証言したことも同じ。
瀬島は亜細亜大理事長で伊藤忠商事会長。
最後の御前会議に文部大臣として出た太田耕造こそ亜細亜大の創始者。
視点を変えれば、人脈というのはとても興味深い。
この作品はドラマ化され、76年には仲代達矢が主演。
田宮二郎は鮫島を演じた。
09年には「白い巨塔」と同じく唐沢寿明が主演だった。
戦闘機はどう選ばれるのか。政治が絡んでくるだけに、話が複雑。
というわけで2巻に続く。
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