大島エッセンスいっぱいの作品。
大島といえば、「ピエタ」を思い出す。
2012年本屋大賞で3位となり、多くのファンを得た。
この作品も、独特の世界を描いている。
るみ子は祖母豊世の葬儀で、嘉栄と会う。
嘉栄はナゾのおばさん。
るる(るみ子)とどういったつながりがあるか、よくわからない。
そもそも彼女の話自体が家庭や親戚筋で出てこない。
実は祖母の豊世と双子だった。
だが、何故か成長がとても遅い。
そのため、家から出さずに育てられた。
学校にも行かず、家庭内教育を受ける。
るるは祖母から聞いた話を記録する。
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SFといえばSF。しかし内容はSFでない。
大島版「女性年代記」といったところか。
後半出てくる、料理担当の深澤さんの話まで女性の物語が続く。
嘉栄は「銀河鉄道999」のメーテルを思い出す。
多くの人が不老不死を望むが、現実はそう幸福でない。
私はどう終わらせるのか気になっていた。
るるの記録に「嘉栄附記」が加わる。その内容は、かなりドロドロ。
以下の記述が印象に残る。
わたしの書くものについて、独特の空気、特異な空気が流れていると好んでくれた方が何人かいた
(P215−6より引用)
上記の記述は、るるというより大島自身の作風を示している。
だからこそ、この作家には多くのファンがいる。
もしかしたら、「リアル嘉栄」は日本に何人も存在しているのかもしれない。
それは、以前話題になった「所在不明の老人」の中なのか。
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