笑ったし泣いた。文句なしに面白い。
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誉田哲也と言えば、「ストロベリーナイト」。
そして昨日記事に書いた「ソウルケイジ」を読んだ。
主人公は宮本武蔵を尊敬し、「五輪の書」を読む磯山。
兵法オタクで剣道エリートの彼女は友人もいない。
全中大会では準優勝。
本人は、決勝でも負けていないと不満。
父親は警察官で剣道を教えてもいるが、娘とは話もしない。
兄も剣道をしていたが、今はボート競技をしている。
もう一方の主役は甲本早苗。
横浜市民大会で、何故か磯山に勝つ。
この負けに納得がいかない磯山は、推薦で甲本のいる名門の東松学園に進学。
家庭の事情で、甲本は西荻に改姓していた。
父親が家を出た末、離婚したためだ。
関東大会予選で、ケガした磯山。代わりに西荻が出場する。
関東大会個人戦優勝の強敵に勝つ西荻。
だが、 この後磯山の心境に変化が。
「何故戦うのか」という疑問に悩む磯山。剣道に対する情熱を失う。
インターハイ予選で磯山は、まさかの3連敗。
団体戦は3回戦で敗退する。
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勝ちと負けがあるなら、勝つほうがいいに決まっている。
しかし、「勝つだけ」になると競技者が燃えつきてしまうこともある。
女子高生としては時代錯誤の磯山と、勝ち負けに拘らずおおらかな西荻。
両者の対比がとても面白い。
今まで、スポーツを題材にした青春小説は何度か紹介してきた。
例えば、駅伝を描いた「風が強く吹いている」(三浦しをん)。
高校ボクシングの「ボックス!」(百田尚樹)。
マイナーな飛び込み競技を描いた「DIVE!!」(森絵都)。
どの作品も、ライバルが登場する。
本作品でもそれは同じ。
違うのに、剣道という 武道で結ばれている。
日本舞踊が剣道に役立つというのも重要なポイント。
作者は綿密な取材でこうした話を思いついたのか。
だとしたら、引き出しが多い。作家としては有利な点だ。
著者プロフィールにこうある。
「本書は著者初の、人が一人も死なない青春エンターテインメント」
(ハードカバー巻末より引用)
誉田の作品は、残忍な殺され方をするとか、レイプされるとかが多い。
こんな作品も書けるんだなあ。
スピン(栞)が剣道に合わせて紅白になっているのも面白い。
こんな本、久しぶりに見た。
この作品、「武士道セブンティーン」「武士道エイティーン」と続く。
そのうち読みたい。
書評(作家別一覧)
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ラベル:武士道シックスティーン 誉田哲也