2014年12月13日

「光」三浦しをん

この作家には珍しい作品。
意欲は買うが、粗さの目立つ作品。

 

物語は東京都に属する美浜島から始まる。
中学生の信之は、同級生の美花と体の関係があった。

年下の輔は、父親の洋一から虐待を受けており、いつも傷だらけ。
信之のことを兄のように慕っていた。

ある夜、島に大津波が来る。津波で住民のほとんどが死亡した。
生き残ったのは信之、美花、そして輔。
それ以外に船で海に出ていたカメラマンの山中と洋一。燈台守のじいさんだけ。

その後、生き残った人たちはどうなったのか。
信之を中心に話は進む。

**** ***** **** *****

「風が強く吹いている」「舟を編む」とはまったく違う。
「まほろ駅前多田便利軒」「まほろ駅前番外地」でもない。
これが本当に三浦の作品なのか。何度もそう思いながら読んだ。

視点の変化というのは、この作家にしては珍しいのではないか。
告白」で知られる湊かなえを連想させる。

最初に信之。次に南海子。そして輔。
読者には、南海子の夫が信之であることが容易に想像できる。
また、南海子の不倫相手が輔であることもすぐ分かる。

結末は読めなかった。
だが、美花と山中が合意の上だったことは予想通り。

殺人犯である夫と今後も生活するという南海子の選択。
私には理解できない。怖くないんだろうか。

人を殺すということに対する恐怖が感じられないのも疑問。
最初の殺人(山中殺し)で何かが壊れたのか。

家を出た信之が戻ってくるのも理解不能。彼は何がしたいのだろう。
「暴力には暴力を」という主張が通ってしまうのか。
 
連載小説特有の粗さがかなり目立つ。
持ち味を生かせない作品は、私でなくとも高く評価できないはず。

まず、この作品は08年に出ている。
ということは311の津波以前に書かれているということ。
しかし、私を含めて多くの読者は311のことを思い出したはず。

角田光代ではない。「永遠の仔」を出した天童荒太でもない。
新しい分野に挑戦するという姿勢は買うが、それ以上のものはない。
タイトルにある光は、私には見えなかった。

次に三浦の作品を読むとしたら、「天国旅行」か。
アマゾンで高く評価されているのが気になる。

***********************
関連記事

『光』 三浦しをん (集英社)  

「光」三浦しをん

# 「光」三浦しをん

***********************

*****トラックバックはテーマに関係するもののみどうぞ。
スパム防止のため承認制です。その場合リンクは必要とはしません。
一部、こちらからはトラックバックを送れないブログがあります。 
コメントについても承認制です。コメントする人は、まず挨拶しましょう。


posted by りゅうちゃんミストラル at 16:31| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。