新選組副長土方歳三の生涯を司馬が描く。
武州で百姓の息子だった土方。
近藤や沖田と共に新撰組に参加し、京都に向かう。
時代は彼らを歓迎した。
浪人たちが集まる京都の警備が彼らの任務。
池田屋事件で新撰組の名は大きく轟く。
松平容保とも意見を交わすようになる。
悪評のあった芹沢鴨を暗殺し、局中法度と呼ばれる鉄の掟で烏合の衆をまとめる土方。
学のある山南まで脱走し、切腹する。
後半には伊東甲子太郎の参加で主導権を奪われそうになる。
攘夷派という敵もいるが、隊の内部で人間関係が複雑化する。
老中から将軍家直参にならないかという話が来る。
近藤は乗り気だが、伊東たちは反発。土方暗殺計画が持ち上がる。
土方が母に似ている雪の家に寄った帰り、因縁の七里研之助が現れる。
二条河原での決闘に向かう場面で上巻は終わる。
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「ペルシャの幻術師」に続く司馬作品。
あまりに有名だが、今になって読んだ。
文庫は上巻だけで570ページもある。
だが読むのに苦にはならない。夜這いの場面などあるが、中学生でも読める。
池田屋事件の場面で、一説には沖田が病のため戦列を離れたとある。
しかし司馬はそう描かなかった。
読者は歴史を知っている。
ということは、「人をどう描くか」ということが重要になる。
イメージとしては三谷幸喜の脚本で話題となったNHK大河ドラマがある。
土方は山本耕史が演じた。
近藤は香取慎吾、山南は「倍返し」の堺雅人が上品に演じた。
(堺は「篤姫」でも13代将軍家定を、「真田丸」にも出演予定)
芹沢鴨は佐藤浩市。永倉新八役の山口智充は存在感があり光っていた。
表現でなく説明が多いのはやや残念。
それでも長い間人気があるのは、人を描いているから。
下巻では敗走を続ける幕府軍がどう描かれるか。
その中にあって土方は人としてどのように動くのか注目したい。
もちろん未亡人、雪との恋の行方も含めて。
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