2014年10月31日

死ぬ権利と尊厳死、29歳女性の決断(追記あり)

死の病にある女性が、近日中に尊厳死する。
この件が話題となっている。

 

29歳末期ガン患者が「尊厳死」を宣言 米で議論が白熱(イロリオ)

尊厳死を公言しているのは、アメリカ人のブリタニー・メイナードさん。
今年1月に脳腫瘍を宣告された。4月には余命半年と告げられる。

カリフォルニア州に住んでいた彼女と夫。
尊厳死が認められるオレゴン州に引っ越した。
医師が用意した薬物を使って死ぬという。

何故、11月1日なのか。
それは、夫の誕生日を祝ってから死にたいという彼女の願いがあったから。

死ぬ権利については、今まで何度かブログで記事にしてきた。
スイスでは、安楽死が認められている。

スイス、安楽死と自殺ツーリズムを継続

自殺ツーリズムとは嫌な名前だが、長寿命の日本でも死ぬ権利についての議論は必要だ。
あなたやあなたの家族がもし、治る見込みのない病気で苦しんでいたら。
死ぬ権利を認めるということになるのだろうか。

この件で、新たな動きがあった。実行が先延ばしになるという。

尊厳死予告の米女性が新たな動画、実行日の延期を示唆(AFP)

尊厳死は認められるのか。自分でどこまで決められるのか。

死ぬ権利についての議論が必要だ

追記

この女性は1日、薬物を服用して亡くなった。

尊厳死宣言の米29歳女性が死亡 自宅で服薬、家族に見守られ(北海道新聞)

家族に見守られながらの旅立ちだった。
彼女の決断を、簡単に批判してほしくない。

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2014年10月30日

「興奮」ディック・フランシス

障害レースに八百長はあったのか。
競馬シリーズの中でも人気のある一冊。ネタばれあり。

 

主人公ダニエル・ロークはオーストラリアで種馬の牧場を経営していた。
彼の牧場に、オクトーバー伯爵が来る。彼は英国で障害協会の理事をしている。

英国の障害レースに異常が起きているという。
馬が興奮し、大穴が発生しているというのだった。不正かもしれない。

オクトーバーは英国にいたことのあるロークにこの件を依頼する。
以前記者に依頼したところ、記者は事故死した。

興奮剤投与が疑われたが、検査の結果はシロ。
今後も不審な大穴が出る可能性がある。

ロークは両親を事故で失い、二人の妹と弟がいる。
自身は進学しなかったが、妹たちの学費を稼ぎたい。

この件での報酬は2万ポンドという。
調査内容に興味を持ったローク。依頼を受けることに。

長旅(何しろ、飛行機がボーイング707の時代)の後、厩舎に潜入したローク。
真相を暴くことができるのか。

***** ***** *****

競馬シリーズを読むのは、「混戦」「骨折」以来3冊目。
競馬に限らず、「どう生きるべきか」という人間ドラマとしても素晴らしい出来。

よく知られたことだが、作者のフランシスは障害レースの騎手だった。
この作品も、彼にしか描けない世界。菊池光の翻訳もファンが多い。

不正が犬笛と火で行われているというのは意外。
馬の聴力は犬と同等なわけか。

今まで経営者としての目出物を見てきた彼。
馬丁としての視線に慣れてない。

加えてオクトーバーの娘二人に翻弄されるローク。
調査と身の安全が脅かされる。

しかも、乗馬が巧いことで目をつけられてもいけない。
かなり難しい役回りを演じている。

結末については読めなかった。どこにでもスカウトの目はあるものだ。
私が作者なら、ロークを別のエピソードで使う。

複数の作品に出てくるのはシッド・ハレーとキット・フィールディングだけ。
このシリーズは魅力的な登場人物が多いだけに残念。

日本でフランシスに影響された作家といえば、真保裕一。
先日、再読して書評を書いた「連鎖」
「代償」や「震源」、「奪取」など、漢字二文字のタイトルなのは、競馬シリーズと同じ。
フランシスは2010年に亡くなっても、その魂は遠く極東に受け継がれている。

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関連記事

天使のように馬に乗る男。ディック・フランシス【興奮】

興奮/ディック・フランシス

初心者のためのディック・フランシス入門(執筆者・五代ゆう)

↑このシリーズに関する詳しい解説。とても参考になった。

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2014年10月29日

奇跡のルガニス、栄光と差別

昨日、飛び込み競技を描いた小説、「DIVE!」(森絵都)についてコメントをいただいた。
飛び込みといえば思い出すのがルガニス(アメリカ)のこと。
まず、この動画を見てほしい。

 

サモアの血を受け継ぐ彼。
波乱万丈とは彼のような人生を意味する。

16歳でモントリオール五輪銀だった彼は、モスクワを目指した。
しかし西側はソ連のアフガン侵攻を理由にボイコット。メダルは夢に終わった。

自国開催のロスで2冠となった彼。そしてソウルで連続2冠を目指した。
だが飛び板に頭をぶつけるアクシデント。

彼は棄権しなかった。応急処置だけで競技に復帰。
先に演技を終えるライバルの中国選手は高難度の技を決めた。
ルガニスにプレッシャーをかける。

最終演技、ルガニスは「死のダイブ」と呼ばれる後方3回宙返りに挑む。
下手をすれば頭を再度飛び板にぶつける恐れのある難しい技だ。
もちろん、彼だって人間。事故の後だけに恐怖心は今まで以上にある。

一瞬の静寂、そしてスプラッシュ。
ルガニスの賭けは成功し、連続2冠を決める。
当時、私はこの映像を見て「凄いことが目の前で起きている」と涙が出た。

Miracle on Ice(氷上の奇跡)雪の早明戦
そしてジョホールバルの歓喜と並ぶスポーツ名場面。

大会後、彼はHIVに感染していることを公表した。
同性愛者ということで差別と偏見が続いた。

私にとって、彼は偉大な人物。
奇跡的な「死のダイブ」を成功させた彼が、今度は生命の危険にある。

少なくとも私は今後、HIVや同性愛を偏見の目で見ることはすまい。
それが、彼のメッセージであるのなら。

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関連記事

飛び込みの神様の告白

オリンピック! 知られざる名場面 3  

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2014年10月28日

「百年法(下)」山田宗樹

パラレルワールドを描いた作品も、ついに終結。
私にはアマゾンの高評価が信じられない。ネタばれあり。
   
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ガン専門医の加藤を拉致したのは、拒否ムラの人たちだった。
「センセイ」と呼ばれるリーダーはSMOC(突発性多臓器ガン)。

次のリーダーには、あの仁科ケンが選ばれた。
彼は40歳を過ぎてもHAVIを受けていなかった。

日本各地にある拒否ムラ。
そのうちの二つがセンチュリオンに襲われた。

C1は内部崩壊を起こし自殺者が続出。
センセイのいたC4はプロパガンダ目的で殺戮の対象となった。

首相の遊佐は牛島大統領に勇退を促す。
長くトップに君臨すると、どうしても弊害が出てくるものだ。
その牛島はSMOCだった。

加藤は深夜、遊佐に呼ばれる。
アメリカからHAVIに関する重要な情報がもたらされた。

HAVIを受けた者は全員が今後16年でSMOCにより死亡するという。
遊佐は病に倒れた大統領の代理として、「独裁官」制度の確立を提案。
国民投票を行うと宣言。

***** ***** ***** *****

ガイの正体については読めなかった。
逆に、ケンがどうなるかは容易に推測できた。

作品自体のスケールは大きく、かなりの大作だと期待した。
しかし、基本的な設定に疑問が残る。

まず、今まで100年以上続いてきたHAVI。
どうして今になって大量のガン死が出るようになったのか。
今後16年で死亡という内容がSFだからといっておかしくないか?

拒否者を大量虐殺した牛島と、指揮官の北沢大佐はお咎めなしなのか。
根回しなしでクーデターを起こした兵藤はあまりにバカすぎる。

石田衣良が懸念した「右傾エンタメ」については考える必要なし。
それ以前に作品の質が低すぎる。

本屋大賞のベスト10に入ったということは、書店員も質が低いということ。
本が売れない時代、質の低い小説が評価されるのは仕方のないことなのか。

もし、自分でこの本を買ったのなら、「金のムダだった」と落胆しただろう。
図書館で借りてよかった。心の底からそう思う。

この作家、以前読んだ「天使の代理人」は中絶をテーマにした作品。私は高く評価した。
力量はあるだけに、今後の作品に期待したい。

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関連記事

余りに出来の悪いSF 山田宗樹 『百年法』 感想  

↑HAVIとSMOCについての考察など、私も同じことを考えた。

山田宗樹『百年法』を読む。(加筆しました)

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2014年10月27日

「狭き門」アンドレ・ジイド

人はどこまで信仰を求めるべきなのか。
たまにはこうした古典を読むのも意味があるもの。

 

主人公は14歳のジェローム。2つ年上の従姉アリサに恋する。
アリサもまた彼のことを好いている。

両家の家族も二人が結ばれることを喜ばしく思っている。
しかし、アリサは婚約をためらう。

アリサの妹ジュリエットはジェロームの友人アベルが恋する。
しかし彼女は葡萄園の主と結婚してしまう。

神の道を優先するアリサ。アリサの母による不貞も大きく影響している。
結局二人は結ばれず、アリサは亡くなる。彼女の日記だけが残った。

***** **** ***** ****

この作品、読んでいて理解しにくいのは私が日本人だから。
プロテスタントやピューリタニズムというのはキリスト教以外には馴染みがない。

比較しやすい作品は「椿姫」(デュマ・フィス)。
純真な青年アルマンが娼婦であるマルグリットに恋をする。

しかし、アルマンの妹に結婚話が来た時二人の関係は問題視される。
アルマンがマルグリットと別れなければ、妹の話は破談となる。

アルマンの父に説得され、マルグリットは別れを決める。
それを知らないアルマンは彼女に冷酷な仕打ちを重ねる。

早い話、「椿姫」でアルマンの妹は「人質」となった。
「狭き門」では信仰が邪魔をした。

この作品をどう評価するか。
それが大きく分かれるのはアリサの行動に共感できるか否かが大きい。

人の目的は神か人間か。
私は信仰を否定しない。しかしアリサには共感できない。

彼女の死後どうなったか。
ジェロームはアリサの思い出を重く受け止め結婚できないでいる。
娘にアリサと名づけて欲しいという彼女の願いは単に自分勝手にしか考えられない。

私が読んだのは古い岩波文庫。翻訳は川口篤。
ジェロームのモデルはジイドそのもの。
登場人物は、すべてジイドの近くにいた実在の人物がモデルとなっている。
(年齢については少し変えてある)

川口によると、ジイドの「背徳者」は「狭き門」とは逆のことが描かれているという。
「狭き門」が自己抑制を表現した作品であることを考えれば、内容は容易に想像できる。

断定せず、「共に考える作家」であることがジイドの特徴だと川口は述べる。
だとしたら、「背徳者」を近いうちに読むべきかもしれない。

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2014年10月26日

「百年法(上)」山田宗樹

近未来を舞台に、不老不死を描いた作品。
2013年本屋大賞9位。ネタばれあり。
   
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物語は2048年に始まる。
原爆6発という大きな被害を受け敗戦した日本。

HAVIという不老処置が導入され、多くの人が死なない体になった。
政府は生存制限法(百年法)の成立を目指していた。
この法案、HAVIを受けた人は100年経過すると生存権を失うという内容だ。

この法案は国民投票にかけられることに。
笹原という百年法担当の官僚は投票前、成立を目指して自決する。

国民に決意をさせるためだった。しかし投票結果は秘訣。
結局5年遅れでこの法案は成立する。

その後、笹原の下で百年法成立を目指していた遊佐は政治家に転身。
牛島の大統領就任で首相の座を手に入れる。

仁科ケンは下巻でどのような役割を演じるのか。
SMOC(突発性多臓器ガン)の急激な増加は何を意味するのか。

阿那田童仁とは誰なのか。拒否者ムラの未来は。
Mレポートは何に童影響しているのか。すべては下巻で明らかになる?

***** **** ***** ****

この作品で日本は共和国になっていた。
天皇はどうなったんだ?原爆で死んだ?

食糧事情から昆虫食が当たり前になっているのは作者のアイデア。
今でもタイに行けば昆虫を食べることは普通に行われている。

笹原の自決については説得力がない。
彼の死は、結局「無駄死に」ではなかったのか。

国民投票についても結果は見えていた。
サンデル教授(ハーバード)ではないが、人の死を肯定する法案に賛成する人は少ないはず。
投票になった時点で、法案は否決されるのが見えてはいなかったか。

この作品が果たして「右傾エンタメ」に該当するのかどうか。
石田衣良が危機感を表明した。この件については、以下の記事に書いた。

「百年法」は右傾エンタメなのか?

結論を出すのは下巻を読み終わってからにしよう。
上巻を読み限りにおいては、高く評価されているのが不思議な作品。

しかし半分だけ読んだ時点で評価するのは不適当。
というわけで下巻に続く。

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2014年10月25日

無戸籍279人、「300日ルール」改定を!

法務省が調査したところによると、無戸籍者は279人もいた。
9割近くが19歳以下だった。

 

無戸籍279人、19歳以下が9割…法務省調査(読売新聞)

前から何度もこの問題については記事にしてきた。
民法には、以下の規定がある。

「離婚後300日以内に生まれた子は元夫の子と推定する」
(民法772条)

この条文がある限り、無戸籍の若者は増え続ける。
詳しくはこのページに出ている。

離婚後300日問題(wikipedia)

影響が及ぶ子に罪は無い。
にもかかわらず、この条文があるのは国会議員の不作為ではないのか。

先日、「うちわ」で辞任した法務大臣。
こうした問題があるということを理解すべき人物だった。

今後も無戸籍の悲劇は続く?

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2014年10月24日

「幸運の25セント硬貨」スティーヴン・キング

キングによる短編集。
作者自身の解説が各エピソードに付いている。

 

「なにもかもが究極的」

高校を中退した青年が主人公。彼は超能力者だった。
シャープトンという男に「トランスコープ」という組織について知らされる。
トレーニングの後、彼は人を抹殺し始める。

もし、自分が主人公の青年だったら、選択肢はいろいろある。
自分の行為の重さに自殺するかもしれない。

「L・Tのペットに関する御高説」

猫を妻の誕生日に贈った男が主人公。
やがて妻は家を出る。彼女は「斧男」に殺されたのか?

結末がはっきりしないところに恐怖を感じた読者もいただろう。
それこそがキング流なのかもしれない。

「道路ウイルスは北にむかう」

ホラー小説家のキンネルが主人公。
彼はガレージセールで不気味な絵を買う。

少しずつ変化する絵。そしてキンネルを追う恐怖。
まるで、都市伝説にある「リカちゃん電話」みたい。

「ゴーサム・カフェで昼食を」

主人公スティーブ。ある日彼の妻が家を出て行った。
弁護士を交えた昼食の席が設定される。そこで起きた残虐な事件とは。

この話の結末を最初から予想していた人がいたなら。
今後、ミステリー小説を読む意味はないはず。
それほどまでにありえない展開だった。

「例のあの感覚、フランス語でしか言えないあの感覚」

タイトルが意味しているのはデジャヴのこと。
結婚25周年記念にリッチなフロリダでの旅行に出かけた夫婦。
妻のキャロルは妄想に取り付かれる。

キングはこう述べている。

僕は、同じことの繰り返しこそ地獄ではないかと思う。
(解説部分より引用)

人によって地獄が何かは大きく違う。
当たり前だ。地獄から戻ってきた人はいないのだから。

しかし、繰り返すことが地獄であるというのは、「あり」だ。
私は読んでいてそう考えた。

「一四〇八号室」

幽霊が出る場所に出かけて作品を出している作家のマイク・エンズリン。
ニューヨークにあるドルフィン・ホテルにやって来た。

彼の目的は、空室になったままの1408号室に宿泊すること。
もちろん本にするためだ。
この部屋では過去、自殺者が13人。自然死が30人出ているという。

支配人オリンは、宿泊を中止するよう説得する。
しかし作家の意志は固かった。そして事件は起きる。

「幸運の25セント硬貨」

ホテルの客室清掃をしてつつましい生活をしている女性が主人公。
夫は家を出たまま戻らない。

客からのチップはたった25セントだった。
彼女はその金でフロント前にあるスロットマシーンを試してみる。

すると大当たり。その金でカジノのルーレットに挑む。
このエピソードは残忍な内容でなくてよかった。

***** **** ***** ****

キングらしい下品さの含まれた内容。
ゲロとか出てくるのには閉口。
「トーストのウンコのせ」とか食事中に思い出してしまいそう。

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角田光代の知名度は低い?

いつも利用している図書館。
こんなことがあった。

   目

ある日のこと、角田光代の作品を探していた私。
多くの作品を出している角田なのに、一冊も見つからない。

しばらくしてその理由が判明した。
「かくた」ではなく「かどた」の棚に作品が並んでいた。

この図書館では、以前から配架ミスが多かった。
職員 (ここの図書館は業務を本屋に委託)は「利用者が間違ったのかも」と言っていた。

しかし、今回の場合はどうか。
6冊も7冊もある角田の作品すべてを利用者が間違って書棚に置くだろうか。

私はこう考える。
職員の中に配架をいい加減に行っている者がいる。

それにしても、角田光代を「かどた」と読む図書館職員がいるとは驚きだ。
結構売れているし、直木賞作家でもある。
角田の知名度はそんなに低いのか。

百田尚樹はどうなんだろう。
「ひゃくた」ではなく「ももた」と誤読している人はどのくらいいるのか。

というのも先日、ブッ〇オフで「ももた」の棚に彼の本があったのを見かけたからだ。
この時は1冊だけだったので、スタッフの仕業と断定できない。

とりあえず、今後は図書館職員を疑ってかかろう。
利用者にできる防衛策はそのくらいしかない。

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2014年10月23日

「連鎖」真保裕一

元食品Gメンが導き出した事実とは。
37回乱歩賞受賞作を再読。

 

主人公羽川は食品衛生監視員(食品Gメン)。
今は検疫所の広報を担当している。

始まりは、羽川の友人竹脇の事故だった。
車で海に飛び込み意識不明に。

竹脇は元大学教授と汚染食品の輸入について追った記事を書いていた。
社会的にも反響の大きかった記事で、有名に。

脅迫状に倉庫荒らし。食品の横流しに 関係者の自殺。
襲撃に火事と次々にに事件が起きる。

羽川は上司の高木から調査を命じられた。
そこに女性保険調査員が加わる。

***** ***** *****

ケータイやネットのない時代が舞台。
文庫初版は94年。

チェルノブイリ原発事故やココムが作品の背景にある。
内容はとにかく盛りだくさん。

後に「ホワイトアウト」を出して知られるようになった真保。
この作品を含め「小役人シリーズ」と呼ばれる。

今までにない主人公。
ハードボイルドとミステリーもかなり本格的。

出世作を今読むのは意味があった。
福島原発事故の後ということも大きい。

真保は競馬シリーズを出したディック・フランシスの影響を大きく受けた。
本作品の題名が漢字二文字なのはそのためだそうだ。

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2014年10月22日

「イギリス人の患者」マイケル・オンダーチェ

イタリアの屋敷で大ヤケドを負った男を介護する看護師。
イギリスの権威ある文学賞、ブッカー賞を92年に受賞。

 

この作品を読むきっかけについては、先日以下の記事に書いた。

本の神様、現る?

北アフリカで乗っていた飛行機が墜落した。
生き残った男は大ヤケドを負う。

北イタリアのサン・ジロラーモ屋敷に送られた男。
カナダ人の若い看護師ハナが彼の面倒を見る。

ハナは戦争で父親を失い、生まれてくるはずの子も失った。
多くの負傷兵を手当てし、戦争神経症になる。
ドイツ軍が去って戦線が移動したものの、ハナはイギリス人患者とこの地に残る。

この屋敷に他にカラバッジョという男が来た。
彼は泥棒で、その才能(?)を生かしスパイに。拷問で手の親指を失った。
傷の痛みもありモルヒネを多用する。彼はハナの父親と旧知の仲だった。

もうひとりがインド出身の工兵、キップ。
ターバンを巻くシーク教徒の彼は、爆弾の解体を専門としている。

やがて明らかになる患者の正体。南カイロで何があったのか。
地理学調査と不倫が墜落の背景にはあった。

***** **** ***** ****

まず、詩的な内容に驚く。短文を多用し、詩のリズムになっている。
4人のナラティブ(物語)が重層的に作品を構成しているのも見事。
数ページ読んで、「これはただものではない」という感想に至った。

映画「イングリッシュ・ペイシェント」はオスカー(アカデミー賞)9部門を独占した。
機会があれば観てみたい。

私が読んだのは新潮社のハードカバー。翻訳は土屋政雄。
「訳者あとがき」で興味深いことを述べていた。

「自分が翻訳しているのか創作しているのか、ときどきわからなくなることがある」
(P291より引用)

ところが、この作品に関してはそう感じなかった。
その理由について、こう述べている。

「自分には絶対書けるはずのない作品」
(同じくP291より引用)

この点は私も同感だ。多くの読者が共感できるはず。
このような詩的な作品を書けるのは、作家でもごく一部に限られる。

<この作品と原爆>

終わり近くになって出て来る広島、長崎への原爆投下。
キップは激しく怒り、イギリス人を殺そうとまで考える。

どうしてキップは劇的な態度の変化をとったのか。
この点については、訳者と同じ疑問を私も持った。

そもそも、キップ自身はイギリス軍に属している。
有色人種であるか否かという点だけで人は判断するものなのだろうか。

訳者は広島、長崎への原爆投下についてこうも述べている。

「ドレスデンの大空襲はある意味もっとひどかったし」
(P293より引用)

その後、こうも述べている。

「決して有色人種の国だから落としたのではなかろう」
(同じくP293より引用)

広島市への原子爆弾投下ドレスデン爆撃
両者は勝敗が決しているにもかかわらず行われた残虐行為であること。
これは同じ。

しかし、原爆の場合はその後の放射線障害が何年も残るという悲惨さがある。
その後の被害者も、原爆のほうがずっと多い。
「はある意味もっとひどかった」という点がどこなのか、私には理解できない。

「有色人種だから落とした」という点を否定するのもどうかと思う。
アメリカ軍は広島にはウラン型のリトルボーイを。
長崎にはプルトニウム型のファットマンを落とした。
「有色人種の国で実験」を行ったと見るのは妥当ではないのか。

作者のオンダーチェはセイロン(今のスリランカ)生まれ。
イギリスとカナダで教育を受ける。

ブッカー賞と言えば前に読んだ「日の名残り」(カズオ・イシグロ)。
今後も受賞作を読んでみたい。

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関連記事

マイケル・オンダーチェ【イギリス人の患者】  

書評175:マイケル・オンダーチェ『イギリス人の患者』

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2014年10月21日

女性閣僚ダブル辞任の意味

小渕優子経産相、松島みどり法相のダブル辞任。
2ヶ月経たないうちに起きた自民党の実情とは何か。

 

政治資金 進退問われる小渕氏 変わらぬ「贈答文化」(東京新聞)

安倍内閣:松島法相も閣僚辞任、小渕経産相に続き(毎日新聞)

経産相に宮沢洋一、法相には上川陽子が後任に決まった。

安倍内閣:新経産相に宮沢洋一参院議員、法相に上川陽子氏(毎日新聞)

「ネギとうちわ」で閣僚が辞任するというのは何ともお粗末。
自民も人材が不足しているのだなあ。

認証式は21日に行われる。
正直、天皇は「この間やったばかりなのに・・・」と思っているかもしれない。

民主党は現職の大臣を刑事告発するという手に出た。
法相が告発されるという事実は重い。

「これくらいいいじゃないか」という意見もあろう。
しかし、「政治とカネ」の問題は少しでも妥協してしまえばズルズルになってしまう。

今回の閣僚ダブル辞任は自民党の「自殺点」でしかない。
民主党はそのことを重く受け止めるべきだ。
もちろん、「ブーメラン現象」を含めて。

閣僚の内情はこんなもの

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2014年10月20日

「1984年」ジョージ・オーウェル

監視社会を描いた近未来小説の代表作。
オーウェルの作品は「動物農場」以来。

 

主人公ウィンストンは真理省勤務の役人。
禁止されている日記を書き始める。

「偉大な兄弟」(ビッグブラサー)による全体社会。
敵はゴールドスタインという裏切り者。
世界は三つに分かれ、戦争状態にある。

女性ジューリアと知り合う。
秘密警察かと思っていた彼女と逢瀬を重ねる。

拷問の場面は読んでいて気持ち悪かった。
翻訳は新庄哲夫。

***** ***** *****

現代人はこの作品を単なる娯楽として読めないはず。
監視社会は現代でも切実な問題だからだ。

監視カメラの危険については先日も以下の記事に書いた。

神戸女児不明事件と監視カメラの危うさ

「少しくらいの窮屈さは仕方ない」という考えには賛成しかねる。
後に取り返しのつかないことになってからでは遅い。

過去の記録を改ざんするというのも笑えない。
日本でも特捜地検による証拠品改ざんが記憶に新しい。

そうでなくても「大本営発表」や「非国民」という言葉が存在した。
隣組による相互監視体制もあった。
「鬼畜米英」というのもこの作品と同じだ。

オーウェルが生きていたら。現代をどのように感じるだろうか。
機会があるのなら訊いてみたい。

***********************
関連記事

ジョージ・オーウェル『1984年』を読みました(読書感想文)

↑この作品に関する詳しい記事。参考になった。  

全体主義の恐ろしさ。ジョージ・オーウェル「1984」

新自由主義批判の書としても読めるジョージ・オーウェル『一九八四年』

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2014年10月19日

「真昼の花」角田光代

東南アジアの闇両替で所持金の大半を失った女性旅行者。
日本企業の前で物乞いをするようになる。

 
↑パックパッカーが多いことで有名なカオサン通り

行方不明の兄と同じく、東南アジアに出かけた女性の主人公。
日本の男友達に電話し、送金してもらうことに。

毎日パン1個だけの生活。それでも間に合わず日本企業の前で物乞いをする私。
日本からやっと金が届き、人らしい生活ができるように。

日本人旅行者アキオと知り合う。
しばらく部屋をシェアした二人だが、アキオは島に行く。
私は彼を追うが、アキオは病に倒れる。

「地上八階の海」

女性フリーターが主人公。会社の電話番をしている。  
コピー機のセールスマン、スゲヌマがコーヒーを飲みに訪れるだけで孤独な毎日。
謎の珍味売り少女もやって来る。

別れた男から手紙が来る。その手紙は切手が貼られていない。
無言電話も来るようになり、手紙は主人公を攻める内容へとエスカレートする。

兄夫婦はマンションで暮らすが、売れ残りの部屋に母親が住む。
ある日、その母が小火を出したという連絡が来る。

痴呆症かと心配したが、ゴミの分別が原因と分かる。
引越しのダンボールもそのままの状態でいる母。

***** **** ***** ****

角田は東南アジアへ何度か旅している。
私も同じ場所に行っているので、どこかですれ違っているかもしれない。

闇両替は止めたほうがいい。
日本人がよく行く韓国でもそれは同じ。

1万円同時両替!2014(ソウルナビ)

確かにレートはいいが、非合法であることは確か。
両替は信用できる場所だけにしよう。

両作品に共通しているのは、女性の孤独。
「地上八階の海」は読んでいて退屈だった。
角田の作品は、どう評価していいか時々悩むことがある。

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2014年10月18日

箱根駅伝予選会、創価大が初の本大会

新春恒例の箱根駅伝。
出場校を決める予選会が行われた。

 

箱根駅伝、創価大が初の本大会へ 予選会で出場校決まる(asahi.com)

上位10人の記録で決まる予選会は、今年も昭和記念公園で行われた。
予選通過は以下の10校。

城西大の村山紘太が最高タイムを出した。
神大、国学大、東海、山学大、中央学院大、上武、中大、順大、城西大、創価大

創価大は初の箱根路となる。部員、関係者はさぞ嬉しかろう。
常連の中大は86回連続出場を決めた。これはすごいことだ。

落ちたのが東農大と法政、専修、国士舘。
あの大根踊りが見られないのは残念。

これに加え、シード権を持つ以下の大学が箱根を走る。
東洋大、駒大、日体大、早大、青学大、明大、日大、帝京大、拓大、大東大
今回は関東学生連合(関東学連選抜を改称)も走る。

箱根で勝つのはどの大学だ?

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ラベル:箱根駅伝 予選会
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2014年10月17日

御嶽山の捜索、雪で打ち切り

噴火で56人の死者を出した御嶽山。
不明者の捜索は積雪のため打ち切りとなった。

 

御嶽山の不明者捜索打ち切り 再開は来春以降(nikkei.com)

現地は15日に初雪があり、二次災害の恐れが出てきた。
このため、不明者がいるとわかっていながら打ち切りを決定した。

捜索の再開は来春、雪解けを待ってということになる。
この判断は妥当だと思う。
捜索する側の危険も考えなければならない。


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ラベル:御嶽山 捜索
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サッカー元日本代表奥大介さん、事故死

17日元日本代表のサッカー選手、奥大介さんが事故死した。
38歳。

 

サッカー元日本代表、奥大介さんが電柱に衝突死(読売新聞)

事故は沖縄県宮古島市で起きた。
彼の運転する自動車が電柱に激突した。
病院へ搬送され、死亡が確認されたという。

現役時代の彼は、磐田や横浜で活躍した。
日本代表には26試合に出場した。

奥さんの冥福を祈ります

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本の神様、現る?

本の神様はいるのかもしれない。

 

ガイドブックを読むのは楽しい。
どこか出かける予定がなくても、各地を旅すする気分が味わえる。

先日、「地球の歩き方 チュニジア」を読んだ。
この国が舞台になっている映画が紹介されていた。

有名なのは「スターウォーズ」。
砂漠の惑星タトゥイーンはこの国で撮影された。

もうひとつ、「イングリッシュ・ペイシェント」もチュニジアが舞台。
オスカー(アカデミー賞)9部門獲得したことで知られる。

この作品、オンダーチェの原作は「イギリス人の患者」として翻訳されている。
イギリス最高の文学賞、ブッカー賞を獲得した。

この作品、題名は知っていたので今度読もうと忘れないようメモした。
その日、図書館のリサイクルコーナーに立ち寄ったら、「イギリス人の患者」があった。

何という偶然。

これは本の神からの「読め」というメッセージ?


というわけで今読んでいるところ。
書評は近日中に書けると思う。

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2014年10月16日

「みんなのうた」重松清

受験に敗れた主人公が、故郷に戻ってきた。
過疎の田舎と家族を描く連作短編集。

   人形

「レイコさんの帰郷」

三浪したものの、東大合格がかなわなかったレイコ。
生まれ故郷の梅郷町に戻ってきた。

一緒に戻ってきたのはイネ。
17で結婚したイネは息子を連れていた。

レイコの実家では、カラオケボックス「ウッドフィールス」を経営していた。
弟のタカツグを田舎から出さないための策だった。

「泳げ、こいのぼり」

カラオケ常連客の老夫婦。
クリームソーダを頼むのは意味があった。

人が少なくなったことで、姿を見せなくなったこいのぼり。
集めて一緒にあげようとする計画があった。

痴呆は田舎にももちろんある。
誰が介護するかは深刻な問題だ。

「フルサトガエル」

イネのじいちゃん、コウゾウは天気を当てる名人だった。
ある日、イネの夫マスオさん(浩一郎)がやってくる。

「タカツグの恋」

免許取得のため、沖縄に行ったタカツグ。
戻るなり、大学。受験すると言い出す。

イネはタカツグの心変わりを恋だと見破る。
だが、相手の女性はしたたかだった。

「エラジンさん」

偉人のことをエラジンと呼ぶ梅郷の人々。
定職を持たず、人の手伝いをしていたサブちゃんこそエラジンだった。

誰も世話することのなくなった田んぼ。
サブは以来に応じて田植えや仮取りしていた。

しかし体調を崩したサブは入院。
刈り取り前に、台風が来る。

弁護士と開業医をしているサブの兄二人が冷たいのは腹が立った。
しかし、自分が同じ立場ならどうしただろう。

地域の崩壊は商店街だけではない。
農村の崩壊は深刻だ。日本各地で似た状況があるはず。

「ふるさと」

イネが家族に相談しないまま東京に戻った。
受験シーズンが近づく中、レイコは東大を再び受けるかどうか悩む。

レイコの母、珠代は腎臓結石で倒れる。
家事を分担する家族だったが・・・

***** ***** *****

田舎の過疎と介護、そして家族の意味を問う作品たち。
似た悩みを持つ読者も多いはず。

しかし、人気のある重松が出す本にしては「やっつけ仕事」ではないのか。
どこかわざとらしい感じがしてレイコなど登場人物に感情移入できなかった。
次の作品に期待したい。

***********************
関連記事

「みんなのうた」重松清(角川文庫)  

重松清「みんなのうた」

みんなのうた(重松 清):書評「家族と故郷はよく似ている。」

読書感想文〜『みんなのうた』 重松清〜

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2014年10月15日

秘密保護法、130議会が撤廃意見書

14日、閣議で秘密保護法の施行が12月10日に決まった。
この法律は果たして是か非か。

 

秘密保護法:秘密指定 19機関に権限 運用基準閣議決定(毎日新聞)  

この法律がどうして必要か。
それは、国にとって重要な情報を守るため。

防衛や外交にとって、情報はとても大切。
スパイ防止、テロ対策などの目的がある。

必要に応じて、国は国民に情報を出さないことがある。
沖縄密約などでも秘密があることは確か。
日本共産党幹部宅盗聴事件があったことも忘れてはならない。

公安警察ということで言えば、菅生事件は公安が起こした。
これも忘れてはならない。

この秘密保護法については、全国130の地方議会が撤廃意見書を出している。

秘密保護法:130議会が撤廃意見書 根強い不信感反映(毎日新聞)

これだけ撤廃意見書が出ていることの意味。
国会議員はどれだけ理解しているだろうか。

日弁連HPでも、この法律の問題点について述べている。

秘密保護法の問題点は?(日弁連HP)

最大の問題は「恣意的な運用拡大」だろう。
為政者によってこの法律が悪用される。それだけは避けなければならない。

この法律、あなたはどう考えます?

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