日経夕刊に連載した作品。私には物足りなかった。
主人公の空也は出版社勤務の25歳。
文芸編集部希望だが、何故かボクシング専門誌「ザ・拳」へ異動となる。
何も知らない空也は、取材で訪れた鉄槌ジムに入門しボクシングを体験する。
鉄槌ジムではホープの立花、坂本や中神などと知り合う。
立花は東日本新人王準々決勝に勝ち残っていた。
リングでは悪役だが、話してみると普通の青年。
トレーナーの有田は、立花が辛い生い立ちであること。
以前、少年院にいたこともあると話す。
後にこのことが問題となるのだが・・・
立花は東日本の新人王となり、東西対決でも勝つ。
日本ランキング12位の位置をつかみ、日本王者が見えてくる。
坂本は立花とは違い、堅実に勝っていく。
最もキャリアのある中神は、ハングリーさが足りない。
***** **** ***** ****
「リング RING」や「ボックス!」の百田尚樹ではない。
「一瞬の夏」の沢木耕太郎でもない。
あの角田がボクシングの世界を描いた。
女性が描く男の世界は、妙にサラサラしている。
角田も例外ではない。ギラギラ、ドロドロ感が不足している。
殴られる痛みや筋肉痛などの描写が足りない。
特に空也は運動が苦手なのだから、その点を描くべき。
かなり昔のことだが、私は後楽園ホールに東日本新人王決勝を観戦したことがある。
無料チケットをもらったためだが、いい経験だった。
席ではなく2階の通路から観ていたが、近くにはアナウンサーの卵がいた。
実況の練習をしていたのがとても参考になった。
この作品を読んでボクシングに興味を持った人がいたら。
一度直に観戦してみるといい。新人王決勝は各階級が見られてお得だ。
***********************
関連記事
空の拳 角田光代
『空の拳』角田光代
「空の拳」感想 角田光代
***********************
*****トラックバックはテーマに関係するもののみどうぞ。
スパム防止のため承認制です。その場合リンクは必要とはしません。
一部、こちらからはトラックバックを送れないブログがあります。
コメントについても承認制です。コメントする人は、まず挨拶しましょう。