25歳の職員が、民間感覚の無さと戦う。
主人公はおもてなし課に配属された掛水。
この部署では観光大使という制度を発足させた。
だが大使になるよう掛水が依頼した作家、吉門から駄目出しの連続。
県庁は民間感覚がないと、吉門に言われ明神多紀を採用する。
彼女は「県庁ルール」に染まっていない人物だからだ。
観光を目玉とする県を目指すため、高知は清遠の案を買うことになった。
彼こそ、その昔パンダを呼ぼうとして閑職に追い込まれた元県庁職員だった。
おもてなし課の奮闘が始まった。
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有川の作品としては、「阪急電車」や「三匹のおっさん」。
そして「旅猫リポート」に並ぶ名作ではないか。
巻末に紹介されているが、観光大使の件は有川自身の経験だという。
パンダ誘致は有川の父親が話していたことだという。
私が解せなかったのは作品でも描かれてはいるが、どうして入札にしなかったかという点。
500万円という税金を投資する以上、納税者に納得のできる説明が必要になる。
若い掛水ならともかく、課長の下元でさえこの点を気がつかないというのはおかしい。
誰かが似たアイデアを、300万円で用意していたかもしれないのに。
しかし、その点を差し引いてもこの作品はよくできている。
私は登場人物に何度も感情移入した。
特に2度目の追い出しを食らった清遠の場面は、泣けた。
県庁に対する佐和の怒りはとてもよく理解できる。
観光に関する部署だけでなく、すべての公務員に読んでほしい作品だ。
この作品、本屋大賞を辞退した。
「本屋大賞」について角川書店と有川浩さんからのお知らせ
賞を取らなくても、作品の価値が落ちるということはない。
本人ではなく他人にまで迷惑が及ぶと有川は考えたのだろう。
残念なことだ。
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