2014年08月31日

「使命と魂のリミット」東野圭吾

医療の現場を東野が描いたらこうなる。
私は素直に感動した作品。

 P1000147.JPG

主人公は帝都大学病院で研修医の夕紀。
ローテーションで今は心臓血管外科にいる。
彼女が医師を目指したのは、父健介が大動脈瘤で亡くなったため。

教授の西園は、かつて父の手術を執刀したその人だった。
そして、母親は西園との結婚を考えていた。

真瀬望は21歳の看護師。
恋人でエンジニアの譲治から、手術室の中を見せてほしいと頼まれる。
譲治はある計画を持っていた。

ある日、病院に脅迫状が届く。
果たしてこの病院に医療ミスはあったのか。
警視庁はスタンドプレーの目立つ七尾刑事を派遣した。

***** **** ***** ****

期待はしていなかったが、これほどまで感動できる作品とは思わなかった。
こんなことならもっと前に読んでおくべきだった。

父親の健介は何故警察を辞めたのか。
その父の死に西園はどう関わっていたのか。

譲治が島原を恨む場面は、「乱反射」(貫井徳郎)を思い出した。
人はどこで誰に憎まれるかわからないものだ。

確かに夕紀中心に物語が進む展開はご都合主義。
しかし、その部分を差し引いたとしてもよくできた作品に仕上がっている。

VIP患者島原の手術では、チーム一丸となって患者を守ろうとする。
その姿に私は打たれた。

照明が落ちれば看護師たちが懐中電灯を持って集まる。
冷やす必要があれば,氷や保冷財で冷やす。
逆に暖める場合はカイロを買ってきて使う。

以下の記述が記憶に深く残る。

「医師とは無力な存在なのだ。神ではないのだ。人間の命をコントロールすることなどできない。
できるのは自分の持っている能力をすべてぶつけることだけだ」

(ハードカバーP362−363より引用)

新たな分野に挑戦し続ける作家、東野。
今後も彼の描く物語を楽しみにしている。

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2014年08月30日

延長45回、軟式野球の狂気

兵庫で行われている全国高校軟式野球選手権大会。
準決勝の中京−崇徳は延長45回でも決着つかず。

 

中京―崇徳、延長45回またも決着付かず 軟式高校野球(asahi.com)

延長54回まで行い、決着つかなかった場合は抽選となるという。

どう考えても連投している投手にはあまりに過酷。
投球数が600とか異常だろ。こんなことでいいのか。

忘れないよう、記録しておく。

こんなことが許されていいのか?

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ラベル:延長 軟式
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横浜、バナナ差別で制裁金500万円

ニッパツ三ツ沢球技場で行われた横浜−川崎戦。
観客席で外国人選手に向かってバナナを振った客がいた。
Jリーグは制裁金500万円を科した。

 

横浜に制裁金500万円 バナナ差別問題(日刊スポーツ)

Jリーグでは3月に浦和で「JAPANESE ONLY」という横断幕事件があったばかり。
その際は、無観客試合となった。横浜では浦和の件を教訓にできなかったのか。

今回の事件が無観客試合とはならなかった理由。
それは、「迅速な対応」に差があったとされる。
浦和の場合は試合終了まで横断幕が放置された。

事件が続けて起きたのは、日本が差別を野放しにしているからだ。
この問題、大久保などで起きている「ヘイトスピーチ」と大きな関連がある。
この国では、何が差別かということが理解されていない。

Jの各クラブでは差別教育を行うというが、本来学校で行うべきもの。
しかも、こうした運動は結果が出るまで時間がかかるものだ。

横浜のバナナ500万円は高かった?

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2014年08月29日

「流れ星が消えないうちに」橋本紡

高校から付き合っていた恋人が海外で事故死した。
残された女性と友人の物語。

 

主人公は21歳の大学生、奈緒子。家族と離れ、一人暮らしをしている。
そんな彼女の所に、家出してきた父親がやって来た。

奈緒子には加地という恋人がいた。
しかし、彼は海外旅行中に起きたバス事故で亡くなる。

今、奈緒子は加地の友人である巧が恋人。
奈緒子と巧は加地の思い出を引きずっていた。

***** **** ***** ****

橋本の作品は「空色ヒッチハイカー」以来。
この作家が上手いのは、文化祭をどう描くかという点。

奈緒子から見たプラネタリウムとフォークダンスの場面。
後に巧が裏方としてどう活躍したかが描かれる。
読者は同じ場面を2回読むことにより、物語の立体化に成功する。

死者はある意味最強のキャラクター。
時間の経過とともに思い出が美化されるし、年を重ねるということがない。
この点は新潮文庫の解説で重松清も書いている。

恋人が死に、死んだ男の友人が女性と付き合う。
ある意味王道なんだけど、私は新鮮さを失わずに読めた。

タイミングもあるが、主人公だけでなく登場人物に感情移入できた作品。
「絶対に書けない物語」ではなく、「書けそうでいて書けない物語」でもある。

もうひとつ、男が描いた女性主人公という点でも私には不自然なく読めた。
女性読者はどう感じたのだろう。

***********************
関連記事

流れ星が消えないうちに 〔橋本 紡〕  

流れ星が消えないうちに 橋本紡

流れ星が消えないうちに/橋本紡

流れ星が消えないうちに/橋本紡

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2014年08月28日

デング熱、国内感染3人確認

デング熱が国内で広まっている。
同じ学校の3人が感染したことは、何を意味しているのか。

 

デング熱、新たに2人国内感染=同じ学校の20代男女−東京・代々木公園で感染か (ウォール・ストリート・ジャーナル日本版)

この病気は東南アジアで感染することがよく知られている。
マラリアとともに恐れられている病気だ。

今回、感染が確認された3人に共通しているもの。
それは、海外渡航歴がないこと。
3人からは同じ型のデングウイルスが検出された。

代々木公園で感染したのではないかと見られている。
東京都では蚊の駆除を行うとしている。

***** **** ***** ****

上のリンク記事を読む限り、特に心配は必要ない。
3人が通う学校がどこかという点も深く追求すべき段階ではないと私は考える。
(ただでさえ、日本は風評被害が広まりやすい)

このところ気温も下がってきている。
これからは蚊も減少するはずだ。

だが、温帯にある日本の亜熱帯化は看過できない。
今後も原因を究明すべきだ。

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ラベル:デング熱
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STAP細胞は現在の日本に無い?

STAP細胞は日本に無いのか?
理化学研究所が検証実験についての中間報告を明らかにした。

 

STAP検証、万能性示す発光起きず 理研中間報告(日経新聞)

科学というのは手品(マジック)ではない。
公表された手順で、誰もが再現できることが求められる。

「リケジョの星」から「疑惑の女王」となった小保方晴子研究ユニットリーダー。
細胞を弱酸性溶液で刺激することにより、STAP細胞ができるとしていた。
脾臓細胞を使い、22回もの実験を試みてきたが成功しなかった。

小保方博士が主張する、「200回成功した」というのは何だったのか。
私にはさっぱり理解できない。

STAP細胞は幻だったのか?

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ラベル:STAP細胞
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2014年08月27日

「十二番目の天使」オグ・マンディーノ

家族を失った男がリトルリーグの監督になった。そこで奇跡が起きた。
私は素直に泣いた。読んでよかった。原題はThe Twelfth Angel

 

主人公は順風満帆な生活をしていた男、ジョン・ハーディング。
野球では大学時代に全米代表に選ばれた。
故障したためメジャーリーガーの夢は閉ざされたが、ビジネスマンとして成功。

そんな彼に、大手コンピュータ企業、ミレニアム社から社長に招かれた。
だが、妻と小学生の息子が自動車事故で死亡した。

失意の中、拳銃自殺をしようとしていたジョン。
その時、旧友のビルが自宅にやって来た。

家に引きこもっているジョンを、ビルは外に連れ出す。
出かけた先はかつてふたりがプレーした野球場だった。
ビルはジョンにリトルリーグの監督になるよう勧める。

不安ながらも監督になったジョン。
エンジェルスを率いてリーグ戦に臨む。

12人のメンバーにはエースのトッドや足は遅いが頼れる捕手のキンブルがいた。
気になるのは体も小さく、足も遅いティモシー。
フライは捕球できず、打撃でもバットにボールが当たらない。

初戦はティモシーのエラーで負けるエンジェルス。
しかしティモシーは前向きだった。

ジョンはそんな彼に息子の姿を重ねる。
全体練習以外に、ジョンはティモシーの練習に付き合う。
息子が使っていたグローブもプレゼントした。

その後のチームは順調に勝ち進み、優勝決定戦出でることになった。
ここまでティモシーはノーヒット。

誰よりも声援を送るティモシー。
そこに奇跡は起きた。

***** **** ***** ****

この作品が理解できない人は、何か人間的に欠けているのではないか。
そんなことさえ考えてしまう。

年間3万人の自殺者を当たり前のように出してい国、日本。
この作品で救われた人も少なからずいたはず。

96年に亡くなった作者のマンディーノ。
彼は97年の時点で総売り上げ部数が3500万部を超えていたという人気ぶり。
この作品を読めば、その理由がよく理解できる。

奇跡は民衆を率いて海を割ったことだけではない。
処刑後3日で復活したことだけではない。

すぐ近くで奇跡は起きている。
我々は、ただそれを知らないだけではないのか。

***********************
関連記事

Vol.24 『「十二番目の天使」におじさんは泣いた!』  

読了『十二番目の天使』(オグ・マンディーノ)

オグ・マンディーノ『十二番目の天使』

オグ・マンディーノ『十二番目の天使』  

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2014年08月26日

自殺と原発事故の因果関係、東電に4900万円の支払い判決

福島第一原発の事故後に自殺した女性。
福島地裁は26日、東電に4900万円の支払いを命じた判決を出した。

 

原発事故後に自殺、東電に4900万円賠償命令(asahi.com)

自殺したのは50代の女性。
原発事故後、避難した後に焼身自殺した。

上記朝日の記事によると、不眠や体重の減少に悩んでいたという。
一時帰宅していた際、自宅の庭で焼身自殺した。

果たして東電は控訴するのだろうか。
はっきりと反省するという意味からも控訴すべきではない。
そのくらい、福島原発事故は多くの人に大きなものを失わせた。

この判決で思い出すのが、高市早苗(自民党政調会長)による暴言。
こういった内容だった。

「東京電力福島第一原発事故で死者が出ている状況ではない」
この記事から孫引き)

あの福島原発事故でどれだけ大きなものを失ったのか。
我々は再認識すべきだ。

焼身自殺した女性が哀れ

東電は控訴せず、判決に従うべきだ


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ラベル:原発
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リチャード・アッテンボロー監督亡くなる

「ガンジー」「コーラスライン」などの映画で知られるリチャード・アッテンボロー監督。
24日に亡くなった。90歳。

 

リチャード・アッテンボロー監督死去 映画「ガンジー」(asahi.com)

彼は「大脱走」「ジュラシック・パーク」などにも出演した俳優だった。
監督としては地味だがアパルトヘイトを扱った「遠い夜明け」。
そしてインドのガンジーを描いた。

90歳は大往生

今までありがとうございました


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2014年08月25日

大阪桐蔭が優勝、夏の高校野球

西日本対決になった夏の甲子園決勝。
逆転で大阪桐蔭が優勝を決めた。

   向日葵(ヒマワリ)

優勝の大阪桐蔭、最後に勝負強さを発揮 高校野球決勝(asahi.com)

7回まで三重が1点リードだった。
しかしツーアウト満塁からタイムリーで逆転。
大阪桐蔭の打撃の強さが際立った大会だった。

台風の影響で、大会が2日間遅れて開幕。
休養日がなかったのが残念。

今後はタイブレークを導入するのだろうか。
選手たちの体調を考えれば、タイブレークは必要だと私は考える。

緊迫したいい試合だった

関係者の皆さん、お疲れ様でした


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ラベル:甲子園 大阪桐蔭
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「猿の手」W・W・ジェイコブズ

猿の手を手にした者は3つの願いがかなえられる。
古典的ホラー小説。原題はMonkey's Pawという。

 

インド帰りの老兵、モリス曹長。
彼が持っていた猿の手は、3つの願いをかなえるという。

ホワイト氏はこれを手に入れ、まず200ポンド求めた。
すると、家の前に来たのが息子の会社の人。
息子が事故で亡くなり、200ポンドを見舞金として払うという。

ホワイト夫人は嘆き悲しみ、夫に猿の手で息子を生き返らせるよう求める。
そう求めると、家のドアをノックする音がした・・・

***** **** ***** ****

今回私が久しぶりに再読したのは、創元推理文庫「怪奇小説傑作集」。
翻訳は平井呈一。

なぜ、今この作品を読んだか。
それは、先日「ゴールデンボーイ」(スティーヴン・キング)に出てきたから。
かなり前に読んだので、すっかりこの作品の存在を忘れていた。

教訓としては、「うまい話には裏がある」という点か。
リスクなしに何かを得ることはできない。

ところで、猿の手を曹長の前に持っていた人物は、何を願ったのか。
3つ目の願い事がその人物の死であったというのが読者の想像力をかきたてる。

***********************
関連記事

海外文学のコラム・たまたま本の話 第38回  「猿の手」の謎と伏線」(ウイリアム・ウイマーク・ジェイコブズ)

↑この作品についての詳しい考察。
有栖川有栖と北村薫の間で論争が起きているとは知らなかった。 

「猿の手」 W・W・ジェイコブズ

W.W.ジェイコブズ「猿の手」を読みました。

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2014年08月24日

「マンハッタンの奇譚クラブ」スティーヴン・キング

クリスマスに語られる恐怖の物語。原題は"A Winter's Tale"
冬の物語として「恐怖の四季」に収録された中篇。

 ハロウィン

デイビッドは弁護士。頑固者で堅実な正真ぶり。
そんな彼が上司に誘われ会費も無料なクラブに参加した。

そこでは物語が披露されていた。
老医師マッキャロンは、クリスマスにある話を語ることになった。
スタンスフィールドという女性の出産に関わった彼。

事情によりシングルマザーを選択した彼女のことを老医師は話す。
職場でも理解が得られなかった彼女に共感するマッキャロン。
そんな彼女に悲劇が待っていた。

***** **** ***** ****

キングらしいといえばらしい作品。乱歩が好きそうな物語でもある。
確かに怖いが、ロマンティックでもある。

何が怖いって、人ほど怖いものがあるだろうか。
若い身重のスタンスフィールドを追い出した職場の女上司が怖い。

以下の一文が特に印象深い。
忘れないよう記録しておく。

語る者ではなく、語られる話こそ
(本文より引用)

私が読んだのは新潮文庫版「スタンド・バイ・ミー 恐怖の四季 秋冬編」。
翻訳は山田順子。表題作については以前記事に書いた。

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2014年08月23日

「ゴールデンボーイ」スティーヴン・キング

優等生がナチの戦犯を脅迫する。
キング得意のホラー。

 

主人公トッドは近所に住むデンカーがホロコーストの加害者だったことを突き止める。
トッドの目的は金ではなかった。

恐ろしいホロコーストの話を聞きたがるトッド。
そのため、成績は下がる一方だった。

成績表を改ざんしドゥサンダーの指導の下、必死で勉強するトッド。
大学受験までに成績は復活する。しかし、ふたりには悲劇が待っていた。

***** **** ***** ****

この話に限って舞台は、キングが使いたがるメイン州ではない。
西海岸サンディエゴ郊外が使われている。

先日記事にした「刑務所のリタ・ヘイワース」。
この作品とつながっている。

冤罪で刑務所に入れられたアンディーは、ドゥサンダーに投資の指南をしている。
そして、妻殺しで服役したことにもこの作品の中で触れている。

この作品はリッキー・シュローダー主演で映画化される予定だった。
しかし計画は頓挫し、98年にやっと映画は完成した。
私は観ていないが、ラストは変更されているという。

アメリカで起きる銃乱射事件。
こうした作品を読むと事件のメカニズムというものがほんの少しでも理解できる。

70年代、世界各国に逃げたナチの戦犯は多く存在した。
作品でも語られているように、南米に逃げた元幹部も多くいた。

代表的な例としてはアドルフ・アイヒマンを思い出す。
ナチス親衛隊 (SS) 将校だったヨーゼフ・メンゲレもそのひとり。

物語の終盤、イスラエルの捜査官がビッグマックを食べる場面がある。
ユダヤ教では肉と乳製品を一緒に食べることは禁止されている。
そのため、ユダヤ教徒はチーズバーガーを食べられない。

222が救急の電話番号というのは知らなかった。
また、紹介されていた「猿の手」という作品も気になるところ。

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2014年08月22日

ヘイトスピーチ法規制、日本には必要だ

ジュネーブで行われた国連人種差別撤廃委員会の対日審査。
日本政府に対してヘイトスピーチ法規制を求めた。

 

ヘイトスピーチ「禁止法が必要」 国連委、日本に勧告案(asahi.com)

ヘイトスピーチ法規制を 国連差別撤廃委で指摘(東京新聞)

今日22日の毎日新聞朝刊には、この話題が出ていた。
先進国は平等を求める法律が存在する。

例えばアメリカでは公民権法がある。
イギリスには平等法、フランスにも差別禁止法がある。

今回の差別撤廃委の要求は当然。
在特会によるヘイトスピーチについては、京都地裁や大阪高裁でも差別だと認定された。

「ヘイトスピーチは名誉毀損」by京都地裁

差別と言えば、部落差別を抜きには語れない。
「部落台帳」は今でも複数の自治体で使われているに違いない。

ヘイトスピーチをしたい人々がいる。
彼らは「表現の自由」を訴えるかもしれない。

しかし、前にも書いたと思うが差別は「表現の自由」なのだろうか。
私は違うと考える。

ヘイトスピーチ法規制が日本には必要だ

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2014年08月21日

「偉大なる、しゅららぼん」万城目学

琵琶湖の近くでのみ、特殊な力を発揮する一族。
2012年本屋大賞第9位。
    

主人公は高校1年生の日出涼介。
日出本家で「湖の民」としての力を養うため修行することに。

本家は城に住んでおり、淡十郎が同級生。
何故か日出の二人だけ制服が赤。優雅にも船で高校へ向かう。

同じクラスには棗広海がいた。
棗一族は日出一族と1000年にもわたりいがみ合ってきた因縁がある。

両家の対決が大きなテーマになるかと思いきや、そうではなかった。
二人が通う高校の校長が両家に出て行けと要求する。

***** **** ***** ****

正直、読むのに時間がかかった。話が退屈でページが進まない。
それでも「この先は面白いかも」と思いつつ読んだ。

アマゾンの高評価が意外に思えるくらいの駄作に感じた。
本屋大賞も下位になればこんなものか。

この本を買ったとしたら、「金の無駄」と感じただろう。
図書館で借りて読んだのは正解だった。

私は師匠や浩介が後半出てきて活躍すると読んでいた。
この作家、どうもキャラを使いこなせていない。

「鴨川ホルモー」「プリンセス トヨトミ」「鴨川ホルモー」や「鹿男あをによし」も未読の私。
最近では「とっぴんぱらりの風太郎」もこの作者だったな。

だが、この先万城目の作品を積極的に読もうとは思わない。
「図書館にあれば読む」くらいの気持ちでいる。

***********************
関連記事

万城目学『偉大なる、しゅららぼん』

■[本]偉大なる、しゅららぼん(万城目学)

【読書】万城目学「偉大なる、しゅららぼん」

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2014年08月20日

27人死亡、広島土砂災害

広島を襲った豪雨。これまでに27人の死亡が確認された。
10人が行方不明となっている。

 

広島土砂災害:死者27人、不明10人に 救出は難航(毎日新聞)

残念だが、今後も死者は増えるだろう。
不明者10人のうち、助かる人がどれくらいいるか。状況はかなり厳しい。

この災害による救助は困難を極めている。
すでに救助活動中だった消防隊員がひとり亡くなっている。

陸上自衛隊では広島県からの要請を受け、500人の隊員を派遣した。
2次災害が懸念される現場で、自衛隊はどの程度救助できるのか。

追記

その後、死者は39人に増えた。
今回のケースでは、避難勧告が遅れたとして問題視されている。

広島土砂災害:分析誤り、住民避難勧告が遅れに 市部長(毎日新聞)

今後も集中豪雨は起こる。
各自治体は広島での反省を踏まえて対策を立ててほしい。

被害に遭われた方に、お見舞い申し上げます

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2014年08月19日

教科書の内覧で発見したこと

6月に小学校の教科書内覧が行われたので行ってみた。
新たな発見が多く、興味深かった。

 

まず、今の教科書がノートのような形のものに変わっていること。
当たり前のようになっているのが新鮮。
私の頃は教科書がノートより小さいのが当たり前だった(古い?)。

小学4年生の国語では、「ごんぎつね」(新美南吉)が今でも各社で採用されている。
日本で一番知られている物語のひとつと言っていい。
新美南吉は「手袋を買いに」でもよく知られている。

古い話だが、教科書で思い出すのが「きかんしゃやえもん」。
作者が阿川弘之だったのは意外だった。

95年から96年まで採用されていたようだ。
日本に蒸気機関車が走っていたというのは、今や歴史の一部になってしまったのか。

***** **** ***** ****

残念だったのが、入り口近くにいた市役所の職員。
試しに教科書クイズを出してみたところ、何ひとつ答えられなかった。

例えばカナダの首都(オタワ)、豪州の首都(キャンベラ)は知らない。
すぐ近くにある地図帳で答えが出ているにもかかわらず。

最近の公務員は、一般教養の試験がないのだろうか。
訪れる人が少ないからといって、ボンヤリしているのはどうかと思う。

職員によると、最近の小学生は、マッチを使ったことがないという。
理科の実験で、アルコールランプに点火する際困るだろうに。

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2014年08月18日

「野火」大岡昇平

太平洋戦争末期のレイテ島で結核に罹った田村一等兵は何を考えたのか。
夏に読みたい作品のひとつ。

 

大岡昇平 自作を語る -「野火」[1/3]  

大岡昇平 自作を語る -「野火」[2/3]

病気により部隊を追い出された田村。
野戦病院でも受け入れを断られる。

芋を手に、再び病院へ向かう田村。
支給された手榴弾により、いつでも死ねる状況にあった。

物量に勝り、優勢な米軍は日本軍基地を攻撃。
敗走する日本兵たちは次々に倒れる。

芋を手に入れた田村。
しかしそのわずかな食料も尽き、人肉を食べようとさえする。

自分では人肉を食べることは拒否した田村。
だが、仲間が「猿の肉」として差し出した肉を食べてしまう。

かつてキリスト教徒であった田村。
運よく帰国するものの、精神病院に入院。妻とも再会したが、離婚する。

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「ひかりごけ」(武田泰淳)とともに極限状態での飢えを描いている。
戦争とは飢えとの戦いでもある。
右側の方々たちは特によく知っておいてほしい。

この作品、過去に映画化された。
1015年にも再び映画が公開される予定。

大岡の作品は、「俘虜記」「武蔵野夫人」などが未読。
図書館では予約も入っていないだろうから、今のうちに読むのもいい選択かもしれない。

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関連記事

大岡昇平『野火』についての考察  

↑この作品についての詳しい考察。参考になった。

大岡昇平『野火』

960夜『野火』大岡昇平

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2014年08月17日

「砂の器」松本清張

蒲田操車場で顔を潰され殺されていた50代の男。
事件の裏に隠された、隠したい事実とは何か。

 

まだ山手線が「国電」と呼ばれていた頃の話。
始発前の操車場で男の遺体が見つかった。

顔を石で潰された遺体。怨恨説が有力だった。
警視庁は捜査本部を設置して真相解明に動き出す。

しかし捜査員たちの努力は実らず、捜査本部は解散となる。
ベテラン刑事の今西栄太郎は、この事件を追い続ける。

岡山に住む男が上京する。被害者は自分の養父ではないか。
被害者が特定されたことで突破口が開ける。

週刊誌の記事から中央本線の窓で紙ふぶきを撒いていた女性の話を知る今西。
それは紙ふぶきではなく、血のついたシャツだった。

だが、この女性は睡眠薬を大量に飲んで自殺。
彼女だけでなく、事件の関係者が次々に死ぬ。

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この作品の背景にあるのが、ハンセン病(らい病)への差別。
思い出すのが、黒川温泉のホテルで起きたハンセン病元患者宿泊拒否事件

批判されたホテルは営業停止した後、廃業となった。
事件当時、「ホテルの対応は理解できる」という意見がネットでは一部で見られた。

もしハンセン病ではなく被差別部落が背景にあったとしても、何も不思議ではない。
つまり、この作品は残念ながら今に通じるということ。

戦災で戸籍が失われ、本人の証言で再生されるという話。
部落差別でも、実際似た話があったに違いない。

差別は何も無くなってはいない。
いつになったらこの作品が「過去のもの」になるのだろうか。

苦言をひとつ。
妊婦が倒れていると産婦人科医のところに電話がかかる。
これは、救急車対応が普通ではないのか。
医師も、119番通報するよう通報者に言うはずだ。

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関連記事

289夜『砂の器』松本清張

松本清張の「砂の器」を歩く (亀嵩編)  

松本清張の「砂の器」を歩く (羽後亀田編)

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2014年08月16日

「刑務所のリタ・ヘイワース」スティーヴン・キング

冤罪で投獄された男が見せた、希望への戦い。
映画「ショーシャンクの空に」(フランク・ダラボン監督)の原作。

 

原題、Rita Hayworth and Shawshank Redemption
主人公は元原稿副頭取のアンディー。

妻がプロゴルファーと浮気していた。
しかし、二人が密会中に殺されたことから彼に容疑がかかる。
裁判で有罪を宣告された彼は、ショーシャンク刑務所に送られる。

刑務所には、自動車に細工をして3人を殺したレッドという男がいた。
彼は、調達係として有能な男だった。

アンディーはレッドにロックハンマーの調達を依頼する。
武器ではなく、鉱物がアンディーの趣味だという。

また、看守たちにとってアンディーは有能な経済アドバイザーだった。
節税や図書室の管理運営にアンディーは手腕を発揮する。

だが、アンディーの起こしたと思われる事件は冤罪だった。
にもかかわらず、再審の扉は開かれない。
アンディーは何を選択したのか。

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人は、いつ冤罪で刑務所送りになるかわからない。
その時、アンディーのように強く戦えるだろうか。私には自信がない。

何といっても男が男を犯す「シスター」の存在がトラウマになりそうだ。
冤罪の可能性が高いにもかかわらず、動かない刑務所長もありそうな話。

映画では、モーガン・フリーマンの演技が冴えていた。
アンディ役のティム・ロビンスより印象が深い。

反省とは何か。
長く刑務所にいることで社会に溶け込めない刑務所帰りの男をうまく表現したフリーマン。

彼は映画によって神様になったり大統領になったりする。
何にでもなれる彼は俳優としていろんな人の心に残る演技をしている。

キングの作品で言えば、刑務所が舞台ということでは「グリーンマイル」。
ショーシャンク刑務所が出てくるところは「スタンド・バイ・ミー」とつながっている。

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