歴史に残るニュージャーナリズム(ノンフィクション)。
原題は「In Cold Blood」。1959年11月に事件は起きた。
農場主クラッター夫婦と2人の子どもが殺された。
犯人は二人の男ディックとペリー。
事件発生前は家族と犯人の動きが交互に描かれる。
4人は後ろ手に縛られ、散弾銃で撃たれ死亡する。
犯人2人はメキシコへ逃亡。
この事件を担当した捜査員はすぐに解決できず、苦悩する。
しかし、かつて刑務所で犯人二人と同房だった男の証言から一気に突破口が開ける。
犯行当時使われていた靴が証拠となって二人は絞首刑となる。
死刑制度や犯人たちの家族も丁寧に描かれ、とても興味深い。
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作者のカポーティは「ティファニーで朝食を」で知られる。
この作品を出すまでに、どれだけの取材が必要だったか。
それを考えるだけでもこの本を手にする理由には十分。
この作品はノンフィクションではあるがナラティブ(物語)。
訳者あとがきにもそのことが書かれている(私が読んだのは佐々田雅子訳の新潮文庫)。
作家が書けばその時点で物語になる。
これは、オウムによるサリン事件を題材にした「アンダーグラウンド」。
この作品を書いた村上春樹が語っていたことでもある。
「アラバマ物語」の作者として知られるハーパー・リー氏。
彼女はこの作品の取材旅行に同行、冒頭で献辞を送られている。
カポーティとハーパー・リーは幼なじみだった。
爆笑問題の大田光は、この作品を読んで衝撃を受けたという。
以前読んだエッセイに出ていた。
この作品は現代の日本にも大きな影響がある。
というのも、裁判員制度があるからだ。
もしあなたがこの事件の裁判員だったら。
犯人二人を死刑とするだろうか。
今の日本なら死刑になる可能性は高い。
逮捕後、反省していないと語るペリー。
反省とは果たして何なのか。映画「ショーシャンクの空に」を思い出す。
キングの作品で言うのなら、「グリーンマイル」もそうだ。
後の作家、映画監督にもこの作品は大きな影響を与えたに違いない。
古いが今でも通用する問題が多い作品
読んでよかったと素直に感じる
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