人気シリーズ第5巻。
「男意気初春義理事」
年末、銀次一門の新吉が安の取り次ぐよう求めてきた。
銀次は網走で死亡、新吉は脱獄してきたのだった。
安は浅草で大晦日に通夜、初詣で賑わう元日に葬儀を行うと決める。
警察署長は検事のおしろいに相談する。
酔狂とは何か。それを安は多くの人に見せた。
まさに義理のエピソード。
「月光価千金」
3人を殺した女。松がおこんの話をする。
おこんは慶応卒でアメリカ帰りの男にプロポーズされる。
その話を永井荷風相談した。
「箱師勘兵衛」
組事務所に来た松。
若い組員はOBかもしれないと松を接待する。
事務所に戻ってきた幹部たちに向かい、松は寅と旅した経験を話す。
寅は日露戦争の生き残り。
死んだかつての部下たちのことが忘れられず、遺族を訪ねて回っていた。
その旅の途中、老いた箱師(列車内で仕事をするスリ)と出会う。
「薔薇窓」
中国人の女がヤクザを殺した。
松は、この女に千代子の話をする。
千代子は官営工場で働くが、経営が傾く。
そして体を売って金を稼ぐようになった。
身請けした男は身勝手で、彼女はこの男を殺す。
「琥珀色の涙」
罪をかぶったと男が父の訃報を耳にする。
この男の親分が松に依頼。
松は栄治と血のつながらない父親の話をする。
実の父が家を建てる際、大工である育ての父に依頼した。
「ライムライト」
来日した喜劇王チャップリン。
帝国ホテルに泊まる。
5・15事件で命を狙われる犬養首相と喜劇王。
常はチャップリンに化ける。
常の活躍もさることながら、召集された映画技師の父親を持つ娘もエピソードに絡む。
このあたりが作者の上手いところ。
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話が出来過ぎではあるが、このシリーズでそんな野暮なことを言ってはいけない。
松の語りはまだ続くのだろう。
この第5巻はボリュームが足りなかった。
もうひとつエピソードを加えてもよかったのではないか。
このシリーズ、最終話は安の死を語る松が描かれるのか。
そして松も死ぬとか。いろんなエピソードがありそう。
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