現代に通じる戯曲。
結婚して8年の夫婦。子どもも3人いる。
クリスマスを前にして、表向きは幸せだった。
弁護士の夫が銀行の頭取になる。
妻のノーラは夫に嘘をついていた。
借金をしていた妻。
そのことを夫には言い出せず秘密にしていた。
だが、クロクスタからの手紙で嘘が露見してしまう。
今まで人形として存在してきたノーラ。
意志を持った彼女は家を出る決心をする。
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この台詞は永遠だ。
「あたしは,何よりもまず人間よ」
(本文より引用)
日本でも、結婚した女性は「会社員〇〇氏の妻」「〇〇ちゃんのママ」と呼ばれる。
それ以前にひとりの女性であることが否定されているかのように。
もし、この作品を結婚前の女性に読ませたら。
結婚を取りやめるかもしれない。
結婚した女性に読ませたら。
夫と子どもを捨てて家を飛び出してしまうかもしれない。
現代の日本ではどうか。
「生む機械」と発言した国会議員。
先日起きた都議会でのセクハラヤジ事件。
北欧であろうが極東の国であろうが、懲りない人はいるもんだ。
たまには戯曲を読んで人について学ぶべき。
私が読んだのは岩波文庫。翻訳は原千代海。
作者のイプセンは主に19世紀に活躍した作家。
ノーラのモデルは二人いるという。
解説で翻訳者が書いている。
ノルウェーで思い出すのが「ソフィーの世界」(ヨースタイン・ゴルデル)。
「あなたはだれ?」という問いでこの作品は始まっている。
時代を超えて、似たことを考える人はいるものだ。
あなたの家は大丈夫?
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イプセン「人形の家」(1879年)〜人形の妻が、意志をもったとき
人形の家/イプセン
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