頭部に弾丸を受けたサラベットは助かるのか。
リスベットはヘリで大学病院に収容される。
優秀な外科医や、彼が呼んだアメリカ人教授のアドバイスもあって命は助かる。
父のザラも同じ病院に収容された。
不思議なのは警官を病院内に配置しないこと。
せめて制服警官くらいは置いとこうよ。
ザラは「自分が被害者」と主張。
そんな彼を公安警察を引退したグルベリが銃で殺害する。
91年の事件とザラについて、口封じのためだった。
表向き、グルベリは気の狂った元税理士ということになっていた。
多くの手紙を書いていたということだが、この説明は不十分。
その場逃れの説明を、どうして警察は受け入れてしまったのか。
そして下巻。
50ページあたりにあるミカエルと首相との会話は興味深かった。
過去にあったサラベットへの人権蹂躙に怒りを見せるミカエル。
この場面、私はミカエルに声援を送りながら読んだ。
多くの読者もそうだったのではないか。
ミカエルの命を狙うという企みがあったが失敗する。
本の出版を止められなかった公安警察もお粗末。
爽快感があったのは裁判の場面。ミカエルの妹、アニカが活躍する。
逆に、検事のエクストレムがバカ過ぎてまったく役に立たない。
このシリーズでは、女性が多く活躍する。
アニカだけではない。「ミレニアム」から新聞社編集長となったエリカ。
そして公安が公安を追跡調査するという異常事態に力を発揮したモニカ。
もちろんリスベットも。
裁判前には、「ニーダーマンをどうして追跡しないのか?」という疑問があった。
その答は下巻の終わりに出てくる。
工場跡にはリスベットの指紋が多く残されているはず。
警察の目が節穴でなければ、リスベットは殺人教唆になってしまわないのか。
読んでいてそんなことを考えた。
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スケールが大きく、実在の事件や人物も登場。
スパイ小説の面白に加え、裁判劇でもある。
読ませるという点においてはこれほどの作品は他に見当たらない。
残念なのは、第4シリーズが読めないこと。
04年、第4シリーズの原稿100枚以上を残して作者のラーソンは亡くなった。
私の予想では、妹がこの巻の終わりに登場。
「話があるんだけど」とリスベットに語りかけて終わると考えていた。
しかしその予想は外れた。
解説の池上冬樹は第4シリーズに妹が登場すると予想していた。
果たしてこの予想は当たっていたのか。読者が勝手に想像するしかない。
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